デトックスではなく食中毒!?「手の常在菌で発酵させた酵素シロップ」に医師が警鐘!「ぬか漬け」や「酒」は安全?

はやかわ リュウ はやかわ リュウ

静岡県のホテルが提供していた、「手の常在菌」を使い夏みかんを発酵させたという、デトックス効果を謳った「酵素シロップ」がテレビ番組で紹介され、衛生面で大きな問題となった。

医師からは、「デトックスどころか、毒を摂取するハメになるよ」という注意喚起の声もあがっており、同ホテルには保健所の立ち入り調査が実施されたという。

「手指の常在菌」の中でもっとも知られるのが、食中毒の原因となる「黄色ブドウ球菌」だ。

「黄色ブドウ球菌」は手指の他、鼻、喉、耳、皮膚、人や動物の傷口などに広く生息し、健康な人の20~30%が保菌。熱、乾燥、胃酸、消化酵素にも強い「エンテロトキシン」という毒素を作り、激しい吐き気、嘔吐、下痢、腹痛を発症するという。

今回の「酵素シロップ」に対し、「手の常在菌は黄色ブドウ球菌などがいて、食中毒の原因になります」と、注意喚起のツイートを投稿していた眼科医、ドクターKさん。ツイートには3万以上のいいねがつき、大きな話題となった。

目にも悪影響があるという「黄色ブドウ球菌」の危険性と、ネットに横行する危険な「民間療法」について、ドクターKさんに話を聞いた。

酒やぬか漬けは「まったく異なる」

ーー寄せられたリプライの中には、素手で作る「酒」や「ぬか漬け」は安全なのか?という声もあがっていましたね(※「梅干し」や「浅漬け」はカビや腐敗の原因となるため、用具や容器のアルコール消毒を徹底し、素手による漬け込みは基本行わない)。

「ぬか漬けは乳酸菌、お酒もアルコールなどが細菌増殖防止に寄与していますので、似ているように思えますが、まったく異なります」

ーーデトックスを謳った「酵素シロップ」のレシピ本も販売されてますが…。

「『酵素シロップ』については明らかにどんな問題があるかまでは分かりませんが、食中毒のリスクがあることは知っておく必要があります。決して家庭で真似をしない方が良いです」

「黄色ブドウ球菌」は目の感染症の要因にも

ーー先生は眼科医ですが、手指の常在菌のひとつ「黄色ブドウ球菌」は目にも悪影響が…?

「黄色ブドウ球菌は眼科の病気の原因になります。結膜炎を始め、ものもらいの原因菌として最も多いとされています。多くは目薬等で治療可能ですが、中には点眼薬が効かない黄色ブドウ球菌による目の感染症もあります」

ーー「酵素シロップ」以外にも、注意すべき「民間療法」はありますか?

「目に関して言えば、自家製の目薬、眼球マッサージなど、根拠がなく、目に負担をかけるものが散見されます。見つけ次第、対応はしますが、定期的に新たなトンデモ療法が生まれています」

◇ ◇

3万以上のいいねがついたドクターKさんのツイートには、手指の常在菌の怖さや、いわゆる「トンデモ……」に関するリプライも寄せられた。

「ワイが子供の頃は、手を菌培養の寒天に当てた後の写真見てうわーとか思ってたのに、最近はそういう教育もしないんだろうか…」

「数年前に話題になった『赤子ヨーグルト』を思い出しました。『自然』にこだわると何でトンデモ方面に行くのか」

※「赤子ヨーグルト」とは、乳酸菌(実際は雑菌)がついているという「乳児の手」を豆乳や牛乳の中に入れてかき混ぜ、腐敗させたもの。

これから梅雨の季節。食中毒にはくれぐれも注意が必要だ。

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