「関西人はがさつ」など、関西はなにかとひとくくりにされがちだが、2府4県の県民性はそれぞれ違う。
たとえば、緊急事態宣言後に人出が最も減ったのは、関西の中でも「目立ちたがり屋でデリカシーがない」というイメージを持たれがちな大阪だ。比較的上品なイメージの京都でも兵庫(主に神戸)でもない。
しかし、なぜ大阪はここまで外出自粛に協力的なのか。関西2府4県のステイホームにおける思考や行動、ストレス発散法について、「ディグラム」という心理手法で47都道府県民の特徴をデータ化した「47都道府県ランキング発表!ケンミンまるごと大調査」の著者、木原誠太郎さんに聞いた。
大阪人は気疲れに注意
木原さんは「大阪人は協調性が高く、空気を読んで楽しいムードを作るのが得意。“人に嫌われたくない気遣い屋さん”なので、ルールは重視するはずです」と分析する。緊急事態宣言を受けて人出が一気に減ったのは、大阪人が持つ「気遣い」の功績とも言えそうだ。
一方で、気を遣いすぎて気疲れする一面もあるという。「ワイワイするのは好きなのでリモート飲み会なども楽しめそうですが、楽しませようとがんばりすぎてコミュニケーションストレスを感じるかも。アロマの香りや、ペットとのふれあいでリラックスするといいかもしれません」。
大阪人の笑いへのこだわりは、人への気遣いがベース。気疲れした時には、癒される時間を作りたい。
リモート飲み会をより楽しめそうなのが京都男子だ。木原さんは、「大勢でワイワイ過ごすのが好きで活発。特に男性は、人生の楽しさをとことん追求したい快楽主義な傾向があります」と語る。さらに、「問題が起きても冷静に対応できる能力が高いので、自分なりのストレス発散法を見つけるのも上手そう」と指摘。長引く自粛生活の中でも、臨機応変に対応できる要領の良さが京男の持ち味だ。
ただし女性はやや趣が違う。「京都女子は教科書がないと対応できないところがある。ストレス発散法を新たに模索していかなければならない状況が苦痛かもしれない」。
とはいえ、男女共に上昇志向が強いので、「スキルアップのための勉強など、自分磨きに精を出すのは向いていそうです」とアドバイス。
コロナ禍収束後、京都府民はビジネスパーソンとして一回り大きくなっているかもしれない。
そんな明るい前向きキャラの京都府民とは対照的に、心静かにステイホームと向き合いたいのが滋賀県民だ。「規律や倫理観に日本一厳しく、とにかく真面目。ただ、一人で過ごす時間が嫌いではない気質です」。
批判精神が高い一方で、いい子でいたいので主張できずに葛藤を抱えがちだという滋賀県民。「真面目な性格から考えても、急に突飛なことを始めるよりは、静かに本を読んだり、興味のあることを掘り下げたり、自分時間を大事にするのが良いと思います」。
ちなみに、自分に自信がないという人が少なくないのも滋賀県民の特徴。パートナーが滋賀県民の場合は、リスペクトの気持ちをちゃんと伝えてあげたい。
奈良県民は「落ち着こう」
収録や撮影が中止となり、過去の感動作がやたらと流れるテレビ業界。そんな状況も楽しめそうなのが和歌山県民だ。「過去の調査で『感動した映画やテレビ番組を話題にする』という問いに対して、男女共に上位でした。感動作を見て涙を流せば気持ちがすっきりするかもしれませんね」
和歌山県民はとにかく、ラテン系の南国ノリでおおらか、食べるのが好きという傾向が強い。「お取り寄せなどでおいしいものを食べるのもストレス発散になりそう。ただし、浪費家な一面もあるので、出費はほどほどに」。
食べて、泣いて気持ちがすっきり。ピュアでハッピーな気質が和歌山県民の強みなのだ。
逆に、テレビなどのメディアとの向き合い方を考えたいのが奈良県民。「自分なりの世界観を持っていて、規律に厳しく論理的。空気にも敏感なので、社会の閉塞的な空気感にも、同じことばかりを流すメディアにもイラつきそう。情報摂取量を20%くらい減らしたほうがいい気がしますね」。
直情的で怒りっぽい面もあるため、「落ち着くことが大事。昔のアルバムなどを見て、自分のこれまでを振り返ってみるのも良いのでは?その上で、これからについて考えてみるといいと思います」。
奈良県民を木原さんは「理論派の武闘集団」と表現する。イライラする日が続くが、奈良の人たちは、とにかく落ち着こう。
一方で、この状況でもどっしりと落ち着いていそうなのが兵庫県民だ。「合理的な判断力を持ち、良くも悪くもドライ。でも、バランス感覚がいいので、巣ごもり生活もマイペースにうまくこなせそうです」。
ドライな一面を持つ一方で、自分に良くしてくれた人に対する義理人情には厚い兵庫県民。「家族を大事にする人も多そうなので、ステイホームで一緒に過ごす時間が増えれば、大切さを再確認できて絆が深まるかもしれません」。
兵庫県民の持つ仲間意識の強さが、家族の強い結束力の源になる。
2府4県でこんなにも違う自粛生活耐性とストレス発散法。あくまでも統計上の傾向を示したもので、そうではない性格の人もたくさんいるが、ストレス発散法の一つとしてうまく役立ててもらえれば幸いだ。