突如「滋賀県民」がツイッターのトレンド入り 背景には琵琶湖の現状を心配する県民の郷土愛があった

浅井 佳穂 浅井 佳穂

  2月3日、ツイッターで突如「滋賀県民」という言葉が、人気のキーワードを示す「トレンド」にランクインした。滋賀県や県内の団体などが驚きのツイートを出した一方、「なぜトレンドに」といぶかしむつぶやき。背景を探ると、滋賀県が誇る日本一の湖、琵琶湖の現状を憂うツイートがきっかけだった。発端となったツイートを発した滋賀県民に思いを聞いた。

 ヤフージャパンのリアルタイム検索によると、滋賀県民という言葉は2日夕方以降ツイッターでよくつぶやかれたようだ。

 「滋賀県民」という言葉がツイッター上で多く見られるようになったきっかけは、滋賀県湖南市在住で同市を舞台にした漫画を制作中の漫画家ロビン安朗(やすお)さん(45)のツイート。暖冬になると、琵琶湖で水の循環が起きず湖底近くで酸素濃度が低くなり、魚介類が大量死する可能性があるとした2019年4月の京都新聞記事を紹介したものだった。

 ロビンさんは今年の暖冬を念頭に「滋賀県民としてはつぶやかずにはいられない。琵琶湖は年に1度、大呼吸をするのです。それが全層循環。去年は全層循環が行われず。このままいくと今年も行われない可能性があるようです」と危機感をつづったところ、1万5千回以上リツイートされた。

 さらに3日午前になると、クイズサイトの「滋賀県民にしか解けない! #滋賀の難読駅名クイズ」が好評を博し、クイズ結果をつぶやく人が増え「滋賀県民」のトレンド入りに拍車をかけたようだ。

 3日の日中は、ツイッターの全国トレンドの10位以内に「滋賀県民」という言葉が残り続けた。

 これを受けて滋賀県ゆかりのツイッターアカウントが驚きや歓迎の声を続々と発した。滋賀県の公式アカウントは「滋賀県民がトレンド入り!」とびっくりした様子。大津市に拠点を置く、V1リーグの「東レアローズ女子」のアカウントも「滋賀県の皆さ~ん‼滋賀県民がトレンド入りしてます。私たち東レアローズも滋賀県民」と反応した。

 「滋賀県非公認キャラクター」を自称し琵琶湖の形状をしたゆるキャラ「びわ湖くん」は「なんで?トレンドに?」とトレンド入りをいぶかしむつぶやきを発した。

 このほか、またとない機会とばかりに「#滋賀県民」を付けて、県内の絶景写真を添付してアップロードする人が多くいたほか、滋賀県甲賀市信楽町が舞台となっているNHK連続テレビ小説「スカーレット」の「聖地巡礼」を促すつぶやきもあった。

 きっかけとなったロビンさんは「まさか『滋賀県民』がトレンドに入るとは思っていなかった。トレンドに入ると、急に滋賀県民がときの声を上げるように次々とツイートしたのが印象的だった」と振り返る。さらに「琵琶湖には海や川とは異なるなんともいえない雰囲気がある。特に夕暮れは鏡のように美しい。琵琶湖の生態系に全国の人が関心を持ってもらえれば」と郷土愛を胸に語った。

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