ロシアがウクライナへ全面侵攻したなか、日本も独立承認地域の資産凍結や輸出入禁止などの対ロ経済制裁へと舵を切り、これまでの経済協力姿勢は180度の転換を余儀なくされています。ロシアビジネスを展開する日本企業でも、影響は避けられない情勢となっています。
帝国データバンクが、「ロシアに進出している日本企業」について調査・分析を実施したところ、ロシア進出の日本企業は「347社」、ウクライナとの累計は「375社」であることがわかったそうです。
ロシアに進出している日本企業は、2022年2月時点で347社で、2016年(314社)から5年間で1割増加していました。進出先としては、ロシア首都のモスクワのほか、サンクトペテルブルク、ニジニノヴゴロド、サマラなど、多くがロシア西部に集中しているといいます。一方、天然ガスなど資源開発の進むサハリン、日本から地理的に近いウラジオストクへの進出も目立っているそうです。
ロシアへの進出形態では、判明する企業のうち、現地での販売拠点や駐在員事務所など「オフィス/店舗・販売拠点」が7割超を占めた一方で、「工場・製造拠点」も1割超を占めているといいます。この結果、ロシア・ウクライナ両国へ進出している日本企業進出は、累計で375社に上ったそうです。
業種別にみると、ロシア進出企業で最も多いのは「製造業」の156社となり、全体の4割超を占めており、「トヨタ自動車」など完成車メーカー各社のほか、自動車部品メーカー、「武田薬品工業」など、業界大手の企業が多く含まれているといいます。「卸売業」(87社)は総合商社のほか、ロシア産水産品を取り扱う水産物専門商社、中古車の輸出・販売業者などが進出しているそうです。「サービス業」(35社)では、ソフトウェア開発などのIT企業が目立ちました。
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進出企業数を欧州主要国と比較すると、ロシアへの進出企業数は欧州では最も多いイギリス(1298社)の3分の1となるものの、トルコ(約200社)・スペイン(約230社)といった国に比べても1.5倍の規模となるなど、比較的多いと言えるそうです。
調査を行った同社は、「今後は、日米欧各国による経済制裁の内容や強度、ロシアの対抗措置といった内容によるものの、物流や貿易内容などにも踏み込んだ、『より厳しい制裁が科される』との見方が強まっている」と説明。「対ロ輸出規制の網が日本製品にも拡大すれば、市場拡大を見込んでロシアに拠点を置き、多くの部品・製品をロシア国外から調達してきた製造業のほか、市場開拓を進めてきた日本の小売・卸売といった流通産業などもダメージが避けられなくなる」と述べています。