関東は「JRの運賃が高い説」は本当? 「近距離は安い」と言われる関西と比較したら…ある区間だけ驚きの運賃が判明

新田 浩之 新田 浩之

関東に行くと「JRは運賃が高いから」という声をよく耳にします。一方、関西では「近距離はJR、遠距離は私鉄」というアドバイスも耳にします。結局のところ関東と関西、どちらがJRの運賃が安いのでしょうか。

実は…全国のJR運賃の中では低めに設定されている関東、関西

JRの在来線の運賃は営業キロに基づいて算出されますが、全路線一律料金ではありません。在来線は基本的に幹線と地方交通線に区分され、運賃も別々です。

ところが関東と関西には国鉄時代に定められた「電車特定区間」というゾーンがあり、幹線よりも運賃は低めに設定されています。「東京の電車特定区間」は首都圏を中心に取手駅、大宮駅、久里浜駅、千葉駅などが範囲内です。

奥多摩駅や武蔵五日市駅は範囲内ですが、川越駅は対象外です。過去には県議会で電車特定区間の範囲をめぐる議論がなされたことも。一方、「大阪の電車特定区間」は大阪市内を中心に西は西明石駅、東は京都駅・長尾駅・奈良駅、南は和歌山駅までとなります。

大阪の電車特定区間は初乗りが安い!

ややこしいことに東京の電車特定区間と大阪の電車特定区間で運賃が異なります。初乗りにあたる営業キロ1~3キロは東京がきっぷ運賃140円、IC運賃136円。大阪は130円となり、わずか6円の差で大阪の電車特定区間に軍配が上がります。

大阪の電車特定区間の初乗り運賃は国鉄時代の1982(昭和57)年4月~2019年10月まで37年にわたり120円でした。度重なる消費税値上げでも据え置かれていましたが、2019年10月の消費税値上げに伴い130円になりました。

関西大手私鉄で最も初乗り運賃が安いのは阪神電気鉄道の150円(2019年10月以前は140円)。JR西日本の方が20円安いことから関西では「近距離はJRが安い」というイメージが定着したように思われます。

一方、関東大手私鉄で最も初乗り運賃が安いのは東急電鉄、小田急電鉄、京王電鉄の130円(IC運賃126円)。JR東日本の136円よりも安く、関西とは初乗り運賃事情が異なることがわかります。

東京の電車特定区間は7~10キロ区間が安い

東京の電車特定区間(きっぷ運賃)と大阪の電車特定区間の運賃は同じ、もしくは大阪の方が安いケースがほとんど。例外は営業キロ7~10キロです。東京の電車特定区間はきっぷ運賃170円、IC運賃168円に対し、大阪の電車特定区間は180円です。

関東大手私鉄では距離10キロで168円を下回るところはなく、「JRが安い」という結論にいたります。

東京の電車特定区間と大阪の電車特定区間を比較してきましたが、コロナ禍になり鉄道運賃の値上げが話題にあがるようになりました。

2021年11月、国土交通省はバリアフリー化に伴う費用を運賃に上乗せすることを想定した制度の創設を発表。報道によるとJR東日本はこの制度の活用に前向きとのことです。

また東急は2023年3月に運賃値上げを予定しています。今年から来年にかけて、全国的に運賃事情が大きく変わるような気配です。運賃の順位も変動するのでしょうか?

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