「45歳定年制」の内容について、約3割が「賛成」――。そんな調査結果が、株式会社みらいワークス(東京都港区)の調査で分かりました。現在、60歳以上に定められている「定年制度」について、サントリーホールディングスの新浪剛史社長が「(定年が)45歳になると、30歳・35歳で勉強する。自分の人生を考えるようになる」と提言したことで、45歳という年齢での定年に注目が集まっています。この発言に対し、大企業で働く社員のみなさんはどのような意識を持っているのでしょうか。
調査は、2023年度に45歳を迎え、大企業(1000人以上)で総合職相当の正社員として勤務する102人を対象として、2023年3月にインターネットで実施されました。
まず、「45歳定年制という提言内容の認知度」を調査した結果、43.1%の人が「知っている」(詳しく知っている9.8%・やや知っている33.3%)、56.8%の人が「知らない」(あまり詳しくは知らない43.1%・全く知らない13.7%)と回答しました。
また、「45歳定年制」の内容についての賛否では、28.4%の人が「賛成」(非常に賛成3.9%・やや賛成24.5%)、58.9%の人が「反対」(非常に反対37.3%・やや反対21.6%)という結果になりました。
「45歳定年制」に「非常に賛成」「やや賛成」と回答した29人に、「賛成の理由」を複数回答可で聞いたところ、「節目として別のキャリアを考えられるから」(69.0%)が最多だったほか、「定年時期が近くなることにより、キャリア意識が高まるから」(37.9%)、「若いうちからリスキリングに着手できるから」(34.5%)などが挙げられました。
回答者からは、「人材の流動化を図るべき」「危機感をもって仕事に取り組むため」「競争力や自由度が図られるから」といった声が寄せられています。
一方、「45歳定年制」に「やや反対」「非常に反対」と回答した60人に、「反対の理由」を複数回答可で教えてもらったところ、「45歳はキャリア形成の途中だから」(83.3%)がダントツで最多となったほか、「一つの企業で安定した仕事をしたいから」(18.3%)、「独立しフリーランスとして働く自信がないから」(16.7%)などが挙げられました。
回答者からは、「環境が整っていない」「今の日本社会の雇用にフィットしない」「ローンが大変になる」といった意見が集まっています。
次に、全回答者に対して、「現在お勤め先の会社について、会社の未来や将来に対する期待感がありますか」と聞いたところ、48.1%の人が「期待感がある」(非常にある2.0%・ややある46.1%)と回答。
なお、「期待感がある」と答えた割合を45歳定年制の賛否別にみると、「45歳定年制に賛成する人」が34.5%であったのに対して、「反対する人」では58.3%となり、23.8ptの差がみられました。
また、会社の未来や将来に対して「期待感がある」と回答した49人に対して「期待感があると思う理由」を聞いたところ、「企業が成長しているから」(44.9%)、「自分のキャリアが順調だから」(26.5%)、「評価と報酬が適切に連動しているから」(18.4%)といった回答が上位に並びました。
一方、「期待感がない」と回答した48人に対して、「期待感がないと思う理由」を聞いたところ、「企業が成長していないから」(45.8%)、「これ以上キャリアアップが望めないから」(37.5%)、「離職者が多いから」(35.4%)などが挙げられたそうです。
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調査を実施した同社は、「幸運にも今所属している企業の成長を感じられていたとしても、変化の激しいVUCAの時代、その企業が今後も成長し続けるとは限りません。自分のキャリアに納得して生きていくためには、1つの会社に自分のキャリアを委ねきってしまうのではなく、他の企業、他の環境でも活躍できる力『ポータブルスキル』を身につけていくことが鍵になるのではないでしょうか」と述べています。
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【出典】
▽みらいワークス総合研究所
https://mirai-works.co.jp/