亡くなったペット「廃棄物として捨てるなんて」→そばにいたいから、庭に埋葬してあげたい、法的には? 

猫・ペットの法律相談

石井 一旭 石井 一旭

飼っていたペットが不幸にも亡くなった飼い主さんの中には、少しでもそばにいさせてあげたいとの思いから、自宅の庭や近所の公園などに埋葬を考える方がおられます。このような行為は法的に許されるのでしょうか。

 法律上ペットの遺骸は?

ペットを含む動物の遺骸については、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)2条1項において、「動物の死体」は「廃棄物」として扱うものと規定されています。つまり、飼い主さんの心情的には受け入れがたい話ですが、法的には「ゴミ」と同じ位置づけになります。

遺骸の処理について

人間の場合は、葬儀場において火葬された後に墓地に埋葬されることとなります。火葬、埋葬及び改葬をしようとする場合、「墓地、埋葬等に関する法律」5条の規定に基づいて、市町村長の許可が必要です。実際には、個別に許可を取って火葬・埋葬するようなことはなく、同法10条に基づいて都道府県知事の火葬・埋葬の許可を受けている専門業者に依頼することになるでしょう。

ペットの場合はどうでしょうか。

ペット(動物)の遺骸の処理は、①自己所有地に埋葬する、②お住まいの地方公共団体の清掃局等に依頼する、③ペット葬儀事業者や寺院等に依頼する、といった方法がありえます。

②③の場合、人間と同様に火葬されることが一般的です。自治体の中には一般ごみと一緒に焼却処分してしまうところもあるようですので、きちんと弔いたい場合は、動物の火葬・埋葬を取り扱う民間の葬儀事業者に依頼するのがよいでしょう。なお、動物霊園において取り扱われる動物の遺骸は、「廃棄物」には該当しないものとされています(昭和52年8月3日付厚生省環計第78号)。

自分で埋葬することは許される?

さて、①の自己所有地に埋葬したり、あるいは公園や河原などに埋葬することは許されるでしょうか。

ペットの埋葬を直接禁じる法律はありませんが、廃棄物処理法に従って処理がなされます。つまり、法的には、「ゴミを埋めていいか」という問題と同じ考え方をすることになります。

廃棄物処理法16条は、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」と定めており、これに反する行為は「不法投棄」として、同法25条15号により、5年以下の懲役又は1000万円以下の罰金(併科あり)が刑罰として科される可能性があります。なお、不法「投棄」という言葉からはかけ離れますが、土中に埋めることも「投棄」にあたります。

他人の土地や公園・山林・河川敷等の公共の場所に埋めた場合「みだり」な投棄と判断されやすいでしょうし、自分の土地に埋めた場合でも、その手法・態様が「みだり」なものと判断されれば、不法投棄にあたるものとして処罰される可能性があります。

また、ペットを自分で火葬することは、同法16条の2の「焼却禁止」の規定に違反することとなり、やはり同様の罰則が科されます。

その他、ペットを埋葬したことによって悪臭や虫が発生し、それによって近隣に被害を与えてしまった場合には、近隣の居住者等に対する損害賠償責任を負うおそれもあります。

 このように、ペットの遺骸をご自身で処理することには法的なリスクを伴いますので、弁護士としてはきちんとした専門業者に依頼することをお勧めしたいと思います。

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