よく、「自分のものより、他人のものの方が良く見える」ことの例えとして、「隣の芝生は青く見える」と表現されますよね。そこで、全国の20~69歳の男女1000人に、自身が勤める企業と比べて、知人や友人の勤務先がどれほど「青く見えているのか」を聞いたところ、知人や友人の勤め先に対して、「羨ましいと感じたことがある」と回答した人が約3割ほどいました。また、「羨ましいと思う勤務先」は、「国家公務員」「地方公務員」「トヨタ自動車」などに回答が集まったそうです。
与信管理ASPクラウドサービスを提供するリスクモンスター株式会社が2022年5月に実施した調査です。
「知人や友人の勤め先に対する羨望の有無」については、「羨ましいと感じたことがある(以下、羨ましい)」が32.7%でした。なお前回調査では33.8%だったといい、「羨ましい」と感じる割合は調査するごとに低下してきているといいます。
その一方で、「羨ましい」と回答した内訳を、「性別」「婚姻の有無」「年齢」「職業」「企業規模」「年収」ごとに集計したところ、男女別では、「男性」(31.2%)よりも「女性」(34.2%)の方が、回答率が高い結果となりました。また、世代別では、「20代」(41.0%)が、職業別では「派遣・契約社員(43.1%)」が最も高くなりました。
知人・友人の勤め先を羨ましいと感じている人に対して、「羨ましいと思う勤務先」を調査したところ、1位「国家公務員」(13.1%)、2位「地方公務員」(12.8%)、3位「トヨタ自動車」(5.8%)、4位「キーエンス」、「ソニー」(同1.8%)となりました。
「公務員」は、第1回調査から継続して1位、2位を独占し、「トヨタ自動車」は民間企業の1位を堅持しているといい、羨望度の高さが際立っています。また、4位の「キーエンス」については、高給のイメージに後押しされ、2年ぶりにベスト5にランクインしたといいます。
そのほかでは、6位「TOTO」、8位「アサヒビール」、同率12位「ヤマハ」、「三井物産」、「全日本空輸(ANA)」、「東レ」、「富士フイルム」(いずれも前回54位)が大幅ランクアップした一方、「味の素」「NTTドコモ」(いずれも前回6位)が大幅ランクダウンし、ベスト20圏外になったそうです。
「羨ましいと感じるポイント」については、「給料が高い」(61.8%)、「福利厚生が充実している」(40.1%)、「会社に安定性がある」(39.4%)、「休みがとりやすい」(24.8%)、「会社の知名度」(24.5%)といった回答が上位に並びました。
これを性別、世代別で見ると、「福利厚生が充実している」(男性33.3%・女性46.2%)、「テレワーク等、働き方改革に取り組んでいる」(男性17.9%・女性25.1%)、「昇進の機会が多い」(男性19.9%・女性12.9%)の項目では、男女間で羨ましいと感じる度合いに差があり、若い世代ほど「昇進の機会が多い」「残業が少ない」ことに羨ましいと感じる傾向が窺えたといいます。
さらに、年収別に集計したところ、年収800万円未満の層においては、「給料が高い」が半数を超える回答率を得て1位となっているのに対して、「年収800万円以上」では「残業が少ない」の回答率が高く、年収の多寡による羨望ポイントの相違も窺えたそうです。
最後に、「自身の仕事・勤務先への満足度と、知人・友人が勤める企業への羨望度」について聞いたところ、「自身の仕事・勤務先に満足していない人における羨望の有無」(羨ましい45.7%・羨ましくない54.3%)が、概ね半々であったのに対して、「自身の仕事・勤務先に満足している」人においては、約8割が「羨ましくない」(77.4%)と回答し、「羨ましい」(22.6%)を大きく上回る結果となりました。
また、「自身の仕事・勤務先への満足度」について、世代別、年収別に見ると、世代とともに満足度が上がり、60代では61.9%が「満足している」と回答しており、年収別では、年収600万円以上の層において、満足しやすい傾向が見られたそうです。
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調査を行なった同社は、「隣の芝生が青く見える要因としては、単に他者の環境が恵まれているように感じるだけでなく、自身の環境に満足できているか、という点も大きく関わっています。自社の社員の多くが他社を羨ましがることがないようにするためにも、経営者には、社員が『自社の芝生こそが青い』と思えるように、待遇の改善や働き方改革に取り組んでいくことが求められています」と述べています。