虫歯予防の観点からいえば…ワイン飲むなら「白」それとも「赤」? 歯科医芸人が解説

山本 智行 山本 智行

 「酒は百薬の長」とも言われますが、歯にとってはプラスではないようです。では、せめて、どんな種類のお酒をどのようにして飲むのがいいのか。歯科医芸人の”パンヂー陳”こと陳明裕さんが虫歯予防の観点から解説してくれました。(聞き手・山本 智行)

--今回はお酒と虫歯の関係について、でしたよね。歯にとってアルコール類はそれほど悪くないようにも思えるんですが…。酒席では「殺菌効果がある」なんて冗談めかして言われたりもします。

陳明裕(以下陳):何を言うてるんですか。そもそも殺菌・消毒に用いるアルコール濃度は、厚生労働省のコロナ消毒関連のホームページでも70%以上95%未満となっています。60%台でも一定の有効性はあるようですが、ビールだとせいぜい5%程度。ですからコロナはもちろん、虫歯にも殺菌効果はありません。

--やっぱり、そうでしたか。

 陳:しかも、ですよ。ビールのpHは4と酸性ですし、ジョッキ1杯あたり10グラム以上の糖質も含まれています。利尿作用もありますから飲み過ぎると体が脱水状態になって、唾液の量が減少。汚れを洗い流す働きや抗菌作用が減弱しますから虫歯のリスクはさらに高まります。その上、酔っ払って、そのまま歯磨きもせず寝っちゃったりしたら最悪ですよ。

--でも、寝る前に一杯と言う人は結構います。虫歯になりにくい方法はありますか。

陳: 歯は酸に弱いのでpH5.5以下の飲み物に長時間、触れていると溶けちゃいます。ですからお酒と一緒におつまみとして、チーズなど中和作用のある物を一緒に食べたり、合間に水を飲めばある程度、酸の作用は弱めることができます。でも、就寝中は唾液の分泌量も少なくなるので、口が酸性のまま寝てしまわないように寝る前の歯磨きは必須ですよ。

--どうしてもアルコールを摂取したいとなったら何がベターなんでしょう?

陳:ことpHについてだけ言えば、ものによって多少値は前後しますが、酎ハイでpH2.5、白ワインで3.0~3.5、赤ワインで3.3~3.8、梅酒3.0、ビール4.0、日本酒4.5、焼酎、ウイスキー、ブランデーが5.0~6.0くらいですので焼酎、ウイスキーやブランデーが一番、弱酸性です。

--ちょっと待ってください。酎ハイと焼酎でpHが違うっておかしくないですか?

陳:良いところに気が付きましたね。pH2.5前後というのはレモン酎ハイなどの値で、焼酎は何で割るかでかなり変わってきます。レモンなどの柑橘系のソーダで割るとどうしてもpHは低くなってしまいます。ですから虫歯予防の観点からお酒を飲むならば、柑橘系のソーダを避けて、水、お湯、お茶割りをお勧めします。どうしても味を付けたければ、梅干のようなアルカリ性食品にして下さい。

--あと、白ワインと赤ワインでも違うんですね。

陳:僅かですが、白の方が赤に比べてpHが低い傾向があるようですから虫歯予防の観点だけで飲むなら赤ワインの方がベターかも知れません。あと、糖質について。日本酒やワインなどの醸造酒には糖質が含まれていますが、ブランデーやウイスキー、焼酎などの蒸留酒は蒸留する過程で糖質などの成分が除去されるので、糖質による虫歯のリスクも少なくなります。

--ありがとうございます。どうしても寝酒するというのなら蒸留酒、ブランデーってことですね。

陳:♬これでおよしよ、そんなに強くないのに、って、歌わせないでください。ブランデー飲んでも虫歯予防にはなりません。♬よせばよかった、よせばよかったけれど、とならないように飲んだらきっちり歯磨きしてください。

--ここで、石原裕次郎さんの「ブランデーグラス」ですか。歯磨きしてもう寝ます。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース