その手足のしびれ、もしかして「脳卒中の前兆」かも? 脳卒中の発症前に起こる「しびれ」の特徴 医師が解説

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 脳卒中の前兆の1つとして挙げられる「しびれ」。脳卒中を疑うべき「しびれ」の特徴と、症状が出た際の正しい行動について、吉田病院付属脳血管研究所(神戸市兵庫区)の吉田泰久院長に詳しく聞きました。

――脳卒中の前兆に「しびれ」というのがあると聞くのですが、どういった「しびれ」が出たら脳卒中を疑ったらよいのでしょうか?

しびれにもさまざまな種類がありますが、基本的に脳卒中の前兆として起こるしびれというのは、感覚がなくなるという現象なんです。触っても感覚がなかったり、水を触っても冷たさを感じなかったり、という症状です。また多くの場合、しびれだけでなく、手足が動かなくなる「麻痺」も併発するんです。手足が動かず、さらに感覚がなくなった場合には脳卒中を疑っていただきたいですね。

――脳卒中の前兆である「しびれ」と、座禅をした際などに出る「しびれ」は似ているのでしょうか?

それぞれのしびれは、少し違うんです。座禅をした際などの「しびれ」はピリピリ・ジンジンとした感覚がしますが、脳卒中の前兆の「しびれ」は感覚がなくなってしまうんです。

――しびれがすぐに治まった場合は、大丈夫と考えていいのでしょうか?

すぐにしびれが治まったとしても、一過性脳虚血発作と呼ばれる、“脳梗塞になりかけたが治った”という危険な現象の可能性があります。この現象だった場合、2日以内に脳梗塞を発症してしまうケースが非常に多いんです。そのため、1〜2分という短時間でしびれが治まった場合にも、放っておくのではなく、すぐに医療機関を受診していただきたいですね。

――つまり、両方の手足がしびれた場合には脳卒中を疑った方がいいということですね。

左右両方の手足にしびれが出た場合は、脳卒中とは異なる原因である可能性があるんです。ただ、脳が原因の場合は半身に症状が出ることが多いのですが、血管の構造によっては、まれに両方の手足に症状が出ることもあるんです。つまり、脳卒中の多くは半身に症状が出ると考えていただいて問題ないですが、両方に出た場合も脳卒中が原因の可能性はあります。

――では、しびれが出た場合にはどういう行動を取るのが正しいのでしょうか?

しびれが続くようであれば、すぐに救急車を呼んでください。発症から4時間半以内であれば、特効薬となる血栓を溶かす薬品を使用できるため、脳梗塞の治療は早ければ早いほど良いと考えられています。そのため、症状が強ければ、すぐに救急車を呼んでください。もしも救急車を呼ぶかどうか躊躇してしまう際には、「#7119」の救急安心センターに電話し、専門の看護師さんに相談していただければと思います。

◆吉田泰久 社会医療法人榮昌会 吉田病院 / 理事長兼院長 /
1952年12月の開設以来70年近くにわたり、神戸市の救急医療のなかでも脳卒中患者の診療を主に担い、急性期から回復期、在宅まで一貫した脳卒中治療を提供している。
診療科は、脳神経外科、脳神経内科、内科、循環器内科、リハビリテーション科

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