「メーガン妃問題」が改めてあらわにした世界の分断<前編>

「明けない夜はない」~前向きに正しくおそれましょう

豊田 真由子 豊田 真由子

目次
#1 本題に入る前に
#2 王族の果たすべき責務
#3 人種差別問題
#4 階級社会
#5 旧宗主国と旧植民地

王族の果たすべき責務

王族には、国と国民に対して果たすべき重い義務と責任があります。王族は、高潔で国民の模範とならねばならず、自分個人の幸せよりも、国民の幸せを考えなければならない。メーガン妃には、そうした根本が理解できなかった、あるいは「理解」はしても「受け入れる」ことはできなかった。そして、ヘンリー王子が、王族の責務を自らのものとして覚悟を持って引き受け、果たし続けている父や兄を「王室に囚われていて、かわいそう」等と言うのも、大きな見当違いだと思います。

歴史を見れば、王室というものは当たり前に存続していくものではなく、エリザベス女王は、そのことを身をもって御存知です。例えば英国では、清教徒革命(1642-49)で、国王チャールズ1世が処刑され、名誉革命(1688-89)で、イングランド国王ジェームズ2世が追放されました。エリザベス女王の祖父ジョージ5世の従兄弟であるドイツ最後の皇帝ヴィルヘルム2世(1859-1941年)はドイツ革命で亡命退位し、同じく従姉妹(皇后アレクサンドラ)の夫であるロシア最後の皇帝ニコライ2世(1894-1917年)は、ロシア革命で処刑されています。

来年、在位70年となるエリザベス女王が、国民の敬愛を受け続けている(世論調査で常に80%以上の支持)のは、王室としての責務を果たすという覚悟と、英連邦含めたすべての国民を思う強い気持ち、そしてそれを体現する女王のたゆまぬ努力を、英国の人々がよくよく分かっているからだと思います。

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