元プロ野球選手からきくらげ農家へと異色の転身を果たした元ソフトバンクホークス内野手の中原大樹さん(32)。現在は福岡県糸島市で「結樹農園AGLIS(アグリス)」の常務取締役を務め、家族できくらげの生産販売を行いながら、小中学生に野球を教える野球塾や、社会人野球のコーチとして活躍している。中原さんにきくらげの魅力やおすすめの食べ方などについて聞いてみた。(全2回の2回目)
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中国では古来より不老長寿の薬として重宝されていたというきくらげ。中華料理などでよく使われるが、国内で流通しているのは「海外産の輸入品が95%。国産は5%ほどしかない」(中原さん)のだそう。
「きくらげには不足しがちな食物繊維やビタミンDをはじめ、鉄分、カルシウム、ミネラルなどが豊富に含まれていて、栄養満点のヘルシー食材なんですよ。食物繊維が豊富なので便通が整いますし、ビタミンDやカルシウムは骨の形成に役立ちます。スポーツ選手はもちろん、子どもからお年寄りまで年齢性別を問わずおすすめの体にいい食材です」
中原さんの会社が扱っている種類は「アラゲきくらげ」。きくらげ科の中でもプルンとした肉厚と、シャキシャキ、コリコリした歯応えが特徴だ。
栽培方法は、国産広葉樹の原木チップをおが粉に加工した菌床ブロックを並べて、温度を20〜25度、湿度を70〜90%に保つ。やがて菌床に入れた切り込みから芽が出ると、2〜3週間で収穫できる。夏場は成長が早く、冬場は遅くなるという。
「国産の中でもスーパーなどに並んでいるきくらげは収穫から数日経っているものが多いですが、収穫したてのきくらげはとても美味しいですよ。新鮮ゆえにきのこ臭がして、このきのこ臭が好きという人と嫌いという人に分かれますけどね」
中原さんにおすすめの食べ方を3つ教えてもらった。ひとつ目は、熱湯に30秒ほどさっと湯通しして細かく刻み、醤油とわさびをつけて食べる。肉厚やこりこりした歯応えを楽しむことができ、「まるでお刺身みたい」「こんなの初めて」とやみつきになる人もいるそう。これが一番のおすすめだという。
2つ目は、同様に湯通して細かく刻んだきくらげを、醤油とわさびではなく、ごま油に塩をつけて食べる。こちらも肉厚や食感を堪能できる食べ方だ。きくらげは淡白で癖がないので味付けを嫌わない。中にはマヨネーズに一味唐辛子をかけるのが好きという人もいるとか。
3つ目は、オリーブオイルと塩胡椒をからめた生きくらげの鉄板焼きだ。オリーブオイルをつけ、塩胡椒をしたきくらげを熱い鉄板の上で焼き、水分が蒸発してぷくっと膨れ上がったら出来上がり。特にバーベキューの一品として加えると「食感が牛タンみたい」などと喜ばれるという。
「意外とこういったシンプルな食べ方を知らない方も少なくないのですが、一度ぜひご家庭で試してみては。これからもきくらげの魅力や美味しい食べ方を伝えていきたいです」と中原さんは話している。
「結樹農園AGLIS(アグリス)」&「LaiZe野球塾」ホームページ https://aglisfukuoka.jp