J1昇格効果は54億円どころじゃない!?ファジアーノ岡山、ホーム戦でフロンターレサポーターが訪ねた先とは…

山陽新聞社 山陽新聞社

 今季念願のサッカーJ1に昇格したファジアーノ岡山。ホーム戦の入場券は完売続きで、これまでにない熱気を帯びているが、試合以外でも盛り上がっていることがある。アウェーサポーターによる観光だ。特にSNSのX(旧ツイッター)では、試合前後に訪れた観光スポットや、おいしかった料理、土産物をハッシュタグ(#)を付けて投稿するなど岡山を満喫する内容であふれている。

 3月16日の第6節ホーム戦は、川崎フロンターレ(川崎市)を迎え、JFE晴れの国スタジアム(岡山市)のビジター席がチームカラーの水色に染まった。関東のクラブは今季初。数日前からXでは「#フロサポおいでんせぇ岡山」とのハッシュタグで、岡山での周遊プランや飲食店を尋ねる投稿が出現。14日には早くも「岡山駅にとうちゃーく!今日から2泊3日お世話になります(モモのマーク)」と投稿したり「カキオコ食べた後は、#BIZEN中南米美術館で館長さんに解説してもらいつつ貴重な時間を過ごす」と備前市を巡っている様子を写真とともに紹介したりするフロンターレサポーター(フロサポ)もいた。

 Xの複数の投稿によると、フロサポは遠征先での旅行が大好きで情報発信も得意として有名とのこと。試合前日の15日になると投稿は増え吉備津神社(岡山市)で必勝祈願、美観地区(倉敷市)で夜の散策など岡山観光を代表する場所からの発信が続々と流れた。備中松山城(高梁市)や津山まなびの鉄道館(津山市)など岡山県北に足を延ばすフロサポも。さらには「今から小豆島(香川県)行ってきます」とフェリーに乗り込む様子や「念願のカボチャだ」と現代美術家草間弥生さんの屋外アート作品「南瓜(かぼちゃ)」がある直島(同)での写真、山陰は鳥取砂丘や石見銀山など近県の観光地を楽しむ投稿も見受けられた。

 「FC東京サポさんも、ここは落城させられない(訪れない)だろう」と、駄菓子専門店「日本一のだがし売り場」(瀬戸内市)での買い物報告は、遠征先での旅行好きで同じく有名だとされるFC東京のサポーターを意識。「今回の主目的の野鳥観察」と阿部池(岡山市)、児島湖(同市と玉野市)でマガモの群れの写真を「#フロサポおいでんせぇ岡山」のハッシュタグでポストしたフロサポには、地元の人から周辺で早咲きの桜カワヅザクラがもうじき見頃を迎えることや、一帯の干拓地の歴史を説明するやり取りも見られるなど、SNS上での交流も目立っていた。

 夜になるとサワラや黄ニラなど岡山グルメを楽しんでいる投稿のほか「12席しかないのに、フロサポ8人いるぞ!!」と水色のユニフォームのまま夜の岡山でフロンターレをアピール。17日の試合翌日もハッシュタグ付きの投稿は続き、ゆっくり観光する人もいる一方、自宅で岡山土産を並べ披露するフロサポもいた。

 ファジサポのポストの中には「J1になるってこんなに凄いことなんですね。隔週で何千人もの方々が遠方より岡山に来てくださって、たくさん楽しんでくださって、観光PRまでしてくださるんですよ~」と、フロサポハッシュタグを引用して感動を岡山県や岡山市の公式Xに伝える投稿にも注目が集まった。実際、ファジアーノ岡山によるとJ2時代はビジター席が完売することはまれだったが、J1の今季はビジター席を約2000席に拡大しても完売する状況が続いているという。

 ホーム初戦からアウェーサポーターが多く岡山に訪れていることにクラブは「岡山を楽しんでくださっていることは、岡山を拠点にするクラブとして非常にうれしい限り。それでもスタジアムの席数の上限により、来たくても来られないアウェーサポーターも多くおり、サポーターの皆さまにとっても、岡山の観光にとっても機会損失として申し訳なく感じている。訪れたサポーターの皆さまには、試合の前後も楽しんでいただけるよう、クラブでもフーズやイベントを充実させていく」としている。

 今後、ホーム戦は横浜F・マリノス(29日)、FC東京(4月6日)、鹿島(4月20日)と関東のクラブが続く。いずれもチケットは完売。横浜F・マリノス戦に向け、すでにXでは「#マリサポ岡山遠征」のハッシュタグが出現しており、岡山さくらカーニバルの下調べをするマリノスサポーターや試合後の飲み会(祝勝会か反省会)後のしめのラーメン店までを紹介するファジアーノサポーターなどの投稿でにぎわっている。

 近年、注目されている観光とスポーツを組み合わせる「スポーツツーリズム」。日本政策投資銀行岡山事務所は26日、ファジアーノのJ1昇格が岡山県内に年間54億円の経済波及効果をもたらす、との試算を発表した。J2時代(30億7000万円)の1・8倍に膨らむ予測だが、アウェーサポーターが岡山県内を観光して消費する金額は含まれていない。今回紹介したように岡山県内をくまなく楽しみ、情報発信もしてくれるとなれば、実際の経済効果はさらに大きくなりそうだ。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース