いつもは大暴れだったのに…診察台の上でお寝んね? 16歳の柴犬・こももちゃんは「かわいい認知症」 

小宮 みぎわ 小宮 みぎわ

春は元気で病気知らずの犬であっても、年に1回、動物病院へやって来る季節です。狂犬病の注射と、春から晩秋まで服用するフィラリア予防薬を処方してもらうためです。

柴犬の女の子・こももちゃんは、今年で16歳です。動物病院が嫌いなのか、診察室に入ると、いつも大暴れでした。鳴いてわめいて、手足をバタバタさせて…体重計にもなっている診察台の上でも暴れて、体重が測れませんでした。

それが今年は…何だか大人しいのです。体重も正確に測定出来ました。

みると、ずいぶん痩せていました。そして、私が飼い主さんとお話していると、なんと、診察台の上で眠りだしました。

詳しくお話を伺うと、食欲は旺盛とのことでした。血液検査をさせていただきましたが、特別な異常は見つかりませんでした。

診断は、「認知症(認知機能不全)」といたしましたが、もちろん、こんな詳しい検査をせずとも、こももちゃんが認知症になったことは、飼い主さんが一番よくわかっていらっしゃいました。毎日一緒にいるのですから…。

「でも、とってもかわいい認知症なのよ」

飼い主さんは、こももちゃんのことが愛おしい様子です。ご自宅で撮ったお写真を見せていただきました。

   ◇   ◇

こももちゃんの家には、リンゴちゃんという7歳の黒猫の女の子もいます。リンゴちゃんは、ペットホテルでも、動物病院でも、スタッフと目が合うと戦闘態勢になり唸り声をあげます。そのため、誰も触れない…という、こう見えてとても大変な黒猫ちゃんです。

家でも相当なおてんば猫らしいのですが、猫ですので、体重はこももちゃんの3分の1ほどです。こももちゃんは、そんな小さいリンゴちゃんのお尻を枕にして、猫のように丸くなって眠っていました。そのとき、リンゴちゃんは、そのまま動かずにじっとしていたそうです。

犬猫の認知症(認知機能不全)は、他の同じような症状を現す病気でないことを除外して、はじめて診断されます。脳内の腫瘍やホルモン異常などの病気がないことを確認して、それでは認知症ですね…となります。

症状としては、「机の下などの隙間に頭を突っ込んでじっと動かない」「顔見知りであるはずのヒトや動物に対して無反応」「昼間はよく眠り、夜中は活発になり無目的にウロウロ歩いて、鳴いたり吠えたりする」「トイレではないところで排泄する」「飼い主が周囲にいなくなったときに不安がる」…などです。

こももちゃんのように、食欲は旺盛だけれど、どんどん痩せてくるといった症状もあるようです。

認知症を治す薬はありません。こももちゃんには、穏やかに、残りの時間を過ごしていただきたいな、と思います。

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