「メイワクカケナイ」記憶と闘い続けた認知症の父が遺したノート…息子が発見 胸が締め付けられる思い

広畑 千春 広畑 千春

 認知症と聞いて、どんな印象を持たれるでしょう。怖い?何も分からなくなる?介護が大変―? 何より、その渦中にいる本人は、恐怖と不安といら立ちとやるせなさと…どれほどの思いを抱えているでしょう。そんな思いが記された亡き父のノートを発見した息子さんのツイートが今、話題になっています。

 それは、「今日は実家の亡くなった親父の部屋で寝ます」で始まるバスマン(@BUSMANTHEWORST)さんの今月5日のツイート。その部屋で発見したのは、記憶と闘っていただろう、父の姿が記されたノートでした。

 「メイワクカケナイ様ニスル」「ヨルになったらアマドシメル」「自分の考えで行動しない」…。自分に言い聞かせるように、カタカナ混じりで書かれた、いくつもの注意書き。「ワルカッタ」という言葉もありました。ツイートは大きな反響を呼び、これまでに5.9万件のリツイートと22万以上の「いいね」を集めています。

 バスマンさんの父は50代で仕事を早期退職し、それからは「自宅で特に趣味もなく隠居生活を送っていた」といいます。一方、母は仕事で忙しく、留守中の家事は父がしていたようでした。

 バスマンさんは実家を離れて暮らしていたため、父の異変には気付きませんでしたが、3年ほど前、母から電話で「(父に)認知症の感じがある」と告げられました。直後に帰省した際は普通に会話も挨拶もできたため「老化による物忘れやミスを大げさに捉えているだけでは」程度に思っていましたが、その後も母からは事あるごとに「やっぱりおかしい」と伝えられ、1年半ほど前に病院で検査したところ「前頭葉型認知症」と診断されました。

 診断後も、正月などで帰省すると、父は口数は少ないものの「おかえり」などと話してくれ、「いわゆる認知症のイメージと比べると『そんなに酷いのかな』と思っていた」とバスマンさん。ただ、その頃から実家の至る所に母が書いた「〇〇はしない」「ここは開けない」といった紙が貼られ、散歩に出て道に迷い、警察に保護されることが数回あったといいます。

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