毎晩、見知らぬ女性が部屋に…ある男性患者の訴え

町医者の医療・健康コラム

谷光 利昭 谷光 利昭
病院に来る患者の症例はさまざまです
病院に来る患者の症例はさまざまです

 先生、毎晩知らん女性が部屋に入ってくるねん-。

 85歳の男性患者さんが、真面目な面持ちで語りかけてきます。非常に几帳面な患者さんですが、あるときから突然、女性が部屋に入ってくるようになったとか。話を聞いたときは、寝ぼけておられたのか、夢でも見ておられたのかなと思いました。患者さんも、それ以上その話をされなかったので、あえてそれ以上は聞きませんでした。

 その次の外来でも同様に、女性が入ってくると、お話をされました。それも見知らぬ女性が何人も入ってくるとか。もしかすると“幽霊”が見えているのか…と思いましたが、そこで話が終わったので、その日もそれ以上は、深くたずねませんでした。

 そして、3度目の外来では、あまりにも部屋にたくさんの女性が入ってくるのでカギをかけたと、おっしゃいます。その後に奥様から「ぼけている」と罵られたようです。うちの家内は口が悪いと苦笑いをされていました。

 認知症に、こういうケースがあるのです。レビー小体型認知症といいます。他人に見えないものが見えてしまうのです。これといった治療法はなく、対症療法のみを施行されています。この患者さんには、漢方薬を投与しました。次第に部屋に侵入してくる女性の人数や頻度が減少し、最近はこの類(たぐい)の訴えはなくなりました。

 認知症には、色々な種類があります。よく知られているアルツハイマー型認知症、脳血管の障害によって起こる認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭部型認知症などに大きく分類されます。それぞれに特有の症状があります。

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