tl_bnr_land

無人駅で、妊婦が線路に落下→意識を失い、5分後には電車が…… 命を助けてくれた高校生に「お礼を伝えたい」、その後は?

宮前 晶子 宮前 晶子

「昨日駅のホームで突然めまいがして意識が飛び線路に落ちました。無人駅なんですが、たまたま期末考査だった高校生の子達が線路におりて声かけてくれてホームまで上げてくれました。その子達がいなかったらと思うと今でも震えます」

突然のめまいによって、駅のホームから線路に落下してしまった妊娠中の女性、木村慧(けい)さん。その場を目撃した高校生たち数名に助けられました。

ただ、咄嗟のことに気が動転し、名前はおろか、通っている高校も聞けないまま、別れてしまったことが気がかりに。そこで「おなかの赤ちゃんと私、2人の命を救ってくれた人にお礼を言いたい」と手がかりを探るべく、Threadsで呼びかけるとともに、思い当たる3つの高校に電話やメールで問い合わせしました。

果たして、見つかったのでしょうか?ことの顛末を取材しました。

高校生たちがいなかったら、助からなかった

木村さんが駅の線路に落下したのは2025年11月28日のこと。当時は妊娠26週でした。「めまいや貧血などにはまったくならない体質なのですが、妊娠してから何回かめまいが起きることがありました。今回は前触れも体調不良もなく、いきなり意識がなくなりました」と当時を振り返ります。

落ちた瞬間は意識を消失していましたが、高校生に「大丈夫ですか?」と声をかけられて意識が戻ったそう。その後、線路に降りた男子生徒、ホームにいた男子・女子生徒に助けてもらい、ホームに上げてもらいました。

ホームでも少しふらつきましたが、意識ははっきりあったため、感謝と謝罪を伝えたそう。近くにいた女性に「妊娠中だったら、病院に行った方がいいよ」と言われたこともあり、破水したかも?という不安もよぎったため、電車には乗らず、改札を出て、タクシーに乗車。ひとりで向かった病院で、急遽の検査入院となりました。

「意識も戻ったし歩けるから、こんなことで救急車を呼んではいけないだろうと考えて、タクシーを利用したのですが、まわりの人に、なんで救急車を呼ばないの?!と後からめちゃくちゃ怒られました」

木村さんも話しているように、心身にさまざまな変化が生じるのが妊娠期間です。過去に電車に接触した妊娠中の女性が命を落とすという悲しいできごとがあったと知った時は、「他人事ではないと思いました」。

木村さんが線路に落ちたときは気を失っており、無人駅。5分後には電車が到着する予定だったそう。

「高校生たちがいなかったら、きっと意識も戻らず事故にあっていたと思います。冷静になってから、助けていただいたことへのありがたさが増してきて泣きました。命の恩人で、お腹の赤ちゃんも無事だったので、これは絶対に無事の報告と、お礼を直接しなければいけないと思ったのです」

そこで、駅を利用する高校3校を探し当て、「線路に落ちた妊婦を助けた生徒はいませんか」と電話とメールで問い合わせ。すると、愛知県立西尾高等学校の生徒指導主事 田川誠教諭から「うちの高校の生徒です」と返信が届きました。

高校の掲示板で呼びかけたそうで、3年生の男子生徒3名と2年生の女子生徒2名であることがわかりました。今回、その生徒の方々にお話を聞きました(うちひとりの相川君は、インフルエンザのため欠席)。

落下後すぐ、5人で協力して救助

退院後、しばらくの安静を経て、西尾高校で対面を果たした木村さんと5名の生徒たち。男子生徒3名は野球部、女子生徒2名はソフトボール部で、学年は違うものの、面識やつながりがあったそう。

御礼の言葉といっしょに図書カード(1名3,000円分)も渡したところ、みんな「参考書が買える!」と大喜び。その様子もさわやかでほほえましく、うれしい思いになった、と木村さん。

聞けば、11月28日は期末考査中で、5名ともいつもより早い時間に駅にいたとのこと。

ふらつきながら歩く木村さんのことを全員目撃しており、心配していたところ、線路に落下。

「その瞬間、相川 悠維(あいかわ ゆうい)が線路に降りました。相川は、率先して動くタイプなんです。木村さんに声をかけつつ、ホームに上がれるように助けていたので、僕らでひっぱり上げました」と村松 泰成(むらまつ たいせい)君。

時間にして、1分にも満たなかったと言いますが、「迷わず助ける行動ができたのは、これまでの部活や学校生活で培ってきた力があったからだと思います」と話します。

兼松 郁京(かねまつ いっけい)君も、「妊婦さんも赤ちゃんも無事だったことを聞いて、ホッとしました。たまたま駅にいて、助けて、わざわざ御礼を伝えに来てくれたのがうれしい」。

「人生でこんな経験をしたのは初めて。みんなで協力しあえて、2つの命を救えて良かった」と柴田 采璃(しばた さいり)さんも話します。平松 奈花(ひらまつ なのは)さんは「家族とも大丈夫かな?と話していたので、会いに来てくれて良かったです。赤ちゃんが生まれたら会いたい!」。

2月下旬が分娩予定日で、出産後に会うことも約束しているそうです。

同校卒業生で、現在、野球部監督として指導も行う田川教諭は、「生徒同士がつながりを感じ、互いに成長し合えることがスクールポリシーのひとつ。日頃の部活動等で、瞬時の判断力や安全確認能力、それに基づいた勇気ある行動力を身につけてきたことに加え、創立107年の校風も今回の勇気ある救助活動につながったと感じています」。

◇ ◇

木村さんは今回の対面について、「皆さんニコニコで、無事で良かったですと言ってくださいました。また、私をホームまで上げてくれた生徒さんは、たまたまその日お昼ご飯に誘われて電車に乗るため駅にいた、と言っており、あぁ、本当に奇跡が重なって助けていただけたんだなと思いました」。

改めて、2つの命を救ってくれたことへの感謝が増すとともに、なかなかすぐにできる行動ではないと感心。「私も見習いたいですし、こんなに勇敢な高校生がいるんだよということも伝えたいです」

■けぐり @pinkmade69

■愛知県立西尾高等学校 https://nishio-h.aichi-c.ed.jp/cms/

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース