認知症とみられる父親を、娘が高速道パーキングエリアに置き去りにしたというニュースがありました。娘の行動には衝撃を受けるとともに、「警察に保護してもらい、施設に入る方がいいと思った」という理由には、他にできることがあっただろうにと、なんともやりきれない気持ちになります。
家族自身にも生活や仕事がある
この娘である女性は「介護に疲れた」とも話しているようですが、理由はどうであれ認知症とみられる父親を放置することは許されることではありません。しかし一方で、「介護疲れ」は他人事ではありません。認知症の人が増加するこれからの時代には、私たちも介護疲れに陥ってしまう可能性はあります。
今回のニュースでは幸いにも置き去りにされた父親は保護されましたが、場所や状況を考えると命が危険にさらされていたと言えるでしょう。今後このような事件が起きないように、家族の「介護疲れ」を回避する方法について考えてみましょう。
まず、常に見守りが必要な人を、少人数の家族だけで介護することは難しいものです。自分の時間もなかなか持てない状態で介護をすれば、介護者が身体的にも精神的にも疲れてしまいます。人間は睡眠や休憩を必要としますから、当然のことです。家族だから介護を全てしなければならない、というものではありません。全てを家族でできないからといって、家族の愛情が足らないわけでもありません。家族自身にも生活や仕事があります。
限界近くまで家族だけで介護をし、疲れ切って相談に来られる方は、話を聞くうちに「もっと早くに相談すればよかった」とおっしゃることが良くあります。抱え込まずに、まず相談を。そして、高齢者ご本人とご家族の暮らしを考えて、ショートステイやデイサービス、施設入所などの介護サービスを活用しましょう。