堤防沿いの草むらがなぜか「モヒカン刈り」に 奇妙な光景生んだ縦割り行政の壁

どなどな探検隊(パートナー記事)

京都新聞社 京都新聞社
道路脇約1メートルだけ、伸びた草が残っている。京都府と市で管理が違うため、こんな風景が生まれた(京都市西京区大原野)
道路脇約1メートルだけ、伸びた草が残っている。京都府と市で管理が違うため、こんな風景が生まれた(京都市西京区大原野)

 河川沿いの草刈りくらい、府市協調できないのだろうか-。京都市西京区から大山崎町にかけて流れる小畑川近くに住む会社員男性(65)=西京区=から、京都新聞の双方向型報道「読者に応える」にLINEを通じて寄せられた。現場に広がる「モヒカン刈り」のような奇妙な光景の背景には、河川と道路で管轄が異なるため、予算や業者への発注事務など縦割り行政の壁が横たわっていた。

 西京区大原野上里の山鳥橋から上流を見ると、のり面はきれいに草が刈られているのに、道沿い約1メートルは草が伸びきったまま。わざわざ刈り残しているかのようだ。

 一級河川として小畑川を管理する府乙訓土木事務所に取材すると、毎年5月下旬から6月上旬にかけて付近の草刈りを実施している。川沿いの道路は京都市道にあたり、土手上部の1メートル分は市が管理する。市の作業が約1カ月遅れるためにこのような風景が生まれるという。

 市と協議してどちらかが全体を刈ってしまえばいいのでは。そう府に尋ねると、「1カ所でもそうすると、ここもそこも、となって際限がなくなる。厳しい財政状況の中、無理です」との答えが返ってきた。

 せめて同時期にできないのか。道路管理者の市西京土木事務所によると、業者への発注の時期が異なるため毎年ずれが生じており、今年は特に遅れているという。担当者は「縦割りと指摘されたら確かにその通り。今後はせめて時期を近づけたい」と話した。

 「府市協調」の重要性が強調されているが、逆説的に考えれば、たかが草刈りといえども協調するのは難しいらしい。約2キロ続く伸びた草が、はっきりと象徴していた。

(京都新聞「読者に応える」から)

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