飲酒検問、マスク外して顔に「息吹きかけて」 コロナ感染大丈夫?

どなどな探検隊(パートナー記事)

神戸新聞社 神戸新聞社
新型コロナウイルス感染拡大前の飲酒検問の様子=加古川市内
新型コロナウイルス感染拡大前の飲酒検問の様子=加古川市内

 「神戸市内での飲酒検問で、マスクを外した警察官の顔に直接息を吹きかけるよう言われたが、こんなやり方でいいのか」。今月上旬、神戸新聞双方向型報道「スクープラボ」にこんな声が寄せられた。事実なら、警察官の新型コロナウイルス感染リスクは高く、接する運転者側も不安だ。兵庫県警に取材を進めると、飲酒運転の増加が懸念される年末年始を前に、摘発と感染対策の両立を模索する現場の苦悩があった。(伊田雄馬、小谷千穂)

 投稿者の男性は12月4日午後9時40分ごろ、神戸市兵庫区を車で帰宅中、兵庫署による飲酒検問に遭遇。署員は男性に運転席の窓を開けさせ、マスクを外した自らの顔に向かって息を吹きかけるよう指示したという。

 警察による飲酒運転の取り締まりは、運転者の呼気からアルコール濃度を測る「検知管」を使う。ただ、止めた車の運転者全員に行うわけではなく、コロナの感染拡大前は、その前段として運転者の息を嗅ぐのが一般的だった。

 呼気検査に応じることは、道路交通法で運転者の義務として定められ、拒否すれば同法違反の疑いで逮捕されることもある。検査の前段で息を吐くのは任意だが、拒めば結局、検査を求められる可能性が高い。男性は「応じた何十人もの人が感染リスクにさらされる」と憤る。

 同署を取材すると、「本来は飲酒感知器を使うべきだが、以前のやり方を踏襲してしまった。配慮が足りなかった」と不備を認めた。当時は感知器の台数が足りていなかったといい、「今後は感知器の使用を徹底する」とコメントした。

   □   □

 県警交通指導課は新型コロナ対策として、直接呼気を嗅がないよう県内の警察署に指導する一方、感知器を新たに100台以上購入し、各署に追加配備した。

 生田署では「以前は直接息を吹きかけてもらうこともあったが、現在は感知器を使っている」という。繁華街・三宮を管轄する同署は、酔客の対応のため、ゴーグルを着けて夜の街をパトロールするなど、飛沫(ひまつ)対策に万全を期す。

 だが、各署の感知器の保有台数は、多い署でも10台ほどというのが実情だ。同課は「高価な上、全国の警察が一気に発注したため品薄になり、十分に確保できなかった」と説明する。

 こうした中、「結局、頼りは鼻」という声も。神戸市内の別の署は「酒を飲んでいる場合、息を吹きかけてもらわなくても、運転席の窓を開けただけで、酒の臭いが漂ってくる」と明かす。

▼どなどな探検隊 パートナー協定について
 まいどなニュースはオンデマンド調査報道の充実に向けて、北海道新聞、東奥日報、岩手日報、河北新報、東京新聞、新潟日報、信濃毎日新聞、中日新聞東海本社、福井新聞、中日新聞、京都新聞、神戸新聞、中国新聞、徳島新聞、テレビ西日本、エフエム福岡、琉球新報と連携協定を結んでいます。 「どなどな探検隊」に寄せられる取材リクエストのうち、取材対象地域外に関するものなどは各社と情報を共有。北海道新聞の「みんなで探る ぶんぶん特報班」、 東奥日報の「あなたの声から『フカボリ』取材班」、 岩手日報の「特命記者-あなたの疑問、徹底解明-」、 河北新報の「読者とともに 特別報道室」、 東京新聞の「ニュースあなた発」、 新潟日報の「もっと あなたに―特別報道班」、信濃毎日新聞の「声のチカラ」、 中日新聞東海本社の「Your Scoop みんなの『?』取材班」、福井新聞の「みんなで発掘 ふくい特報班」、 中日新聞の「Your Scoop(ユースク)」、京都新聞の「読者に応える」、神戸新聞の「スクープラボ」、 中国新聞の「こちら編集局です あなたの声から」、 徳島新聞の「あなたとともに~こちら特報班」、 西日本新聞の「あなたの特命取材班」、テレビ西日本の「福岡NEWSファイルCUBE」、 琉球新報の「りゅうちゃんねる~あなたの疑問に応えます」の記事を相互交換し、新聞や自社のウェブサイトに随時掲載します。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース