若い女性にだけチューするアルパカが話題 「なんで私にはしないの!?」

 筆者は女性だがアラフォー。どうだろう。「やってみていいですか」。意を決し、ラアル君に向けてえさを持った手を伸ばす。よし、食べた。ここまではスムーズだ。ということで、「ラアル君、チュー」。だが、ラアル君がキスしたのは、筆者の隣にいた前田さん。

 ノー!若干ショックを受け、再度挑戦した。しかし、キスしてくれない。悔しい。そんな筆者の気持ちを知るよしもなく、ラアル君は少し離れてこちらを見ている。

 「気分にもよりますから…。キスされない場合でも『私女性じゃないのかな~』と皆さん、笑いに変えてらっしゃいます」。松澤さんのなぐさめが心にしみる。

 ところで、どうしてキスをするようになったのだろうか。動物専門学校を卒業した前田さんと松澤さんが飼育員兼カフェ、レストランのスタッフとしてのじまスコーラで働き出した18年4月、同施設には、ラアル君を含めた3頭のアルパカと4匹のヤギがいた。

 前田さんは言う。「専門学校にいたアルパカがチューするのを見たことがあったので、アルパカに教えられないかなと思いました」。握りこぶしをラアル君の鼻先に近づけて、タッチしてくるとえさをあげる。この訓練を繰り返し、握りこぶしを少しずつ顔に近づけて誘導していったところ、6月ごろ、急にほっぺにチューするようになったという。

 と書くと簡単なように思えるが、アルパカはもともと臆病な動物。最初は2人に近寄ってくれなかった。地道な訓練を重ねた結果、2人が柵に近づくと、首を伸ばすまでになったのだ。

 ラウル君以外のアルパカは、チューをしない。オスのジョー(12)は、鼻でグータッチまではするが、キスはしない。が、えさをあげた後にこぶしを突き上げて名前を呼ぶと、軽やかに走って追いかける。メスのココ(5)は、手を差し出すと、なぜかあごを載せてくる。一頭一芸なのか。

 動物園には10月、新たにミニブタ2匹とブチヤギ2匹も仲間入りした。現在、ミニブタにはおすわり、ブチヤギには股くぐりやハードルなどを教えているという。

 ちなみにこの動物園、ラアル君人気が出るまでは、レストランや物販が入った建物から離れているためか、いまいち影が薄かった。松澤さんは「車を降りて、すぐに動物園の方にいらっしゃるお客様が増えてうれしいです。ミニブタやヤギはアルパカよりも身近に触れ合える動物ですし、親近感をもってもらえれば」と話す。

 ラアル君が、チューしたくなる要因が解明されることはあるのか。そして、新入りの4匹は芸を習得し、ラアル先輩の背中を追いかけて人気者になれるのか。今後に期待したい。(神戸新聞特約記者・南文枝)

◆のじまスコーラ TEL0799・82・1820(水曜定休)

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