「ねこの絵本」を自費出版した獣医師の願い 猫との共生へ…心と知識を育みたい

渡辺 陽 渡辺 陽

 

-地域猫活動とは、どんな活動なのですか。

 「地域猫活動とは、TNR(これ以上不幸な野良猫が増えないように、猫に不妊手術をして、元いた場所に放す活動)です。TNRをして放した後も、エサをあげたり、トイレの管理をしたりして見守ります」

【まだまだ知られていないボランティア活動】

 -ボランティアさんと地域の野良猫嫌いの人との間に摩擦もあるのでしょうか。

 「野良猫との共生の仕方が全然知られていないのです。公園でエサをやっていると『エサをやるな』と暴言を吐かれることもあり、不妊手術をしようと捕獲器を持って歩いているとうさんくさい目で見られることもあります。ボランティアさんの活動自体が知られていないことがあるため、苦労する原因になっているのです。絵本を通じて、何のために地域猫活動をしているのか理解してもらえたら、ボランティアさんがもっと活動しやすくなると思います」

 -絵本を読むことで、野良猫に対する考え方が変わるといいですね。

 「クリニックのある地域でも、年配の人は『猫が車にひかれても、それはそれで仕方がない』と言うのです。子供の頃から野良猫に関する正しい知識を持ってもらうことで、文化が変わると、そうした考えの人は少なくなるでしょう」

 -今回、大阪府下の全公立小中学校に絵本を寄贈するのですか。

 「最初に100部自費出版して、売れるのは売れたのですが、販売すると、ボランティア活動をしている人や、その友達とか興味のある人しか買わない。幸い100部売れましたが、野良猫のことや猫の不妊手術の重要性、地域猫活動のことを知らない人にも読んでもらいたいのです。寄付を募り、絵本を公立小中学校に寄贈することにしました」

 

 -たくさんの人に読んでもらえるといいですね。

 「大阪府下の公立小学校1004校、公立中学校463校に寄贈するプロジェクトで、残りは私が主催する『いのちの教室』で配布するプロジェクトだったのですが、寄付目標額を達成し、全校に寄贈できることになりました。子供だけでなく保護者の方にも一緒に読んでもらえると嬉しいです」

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