元祖きつねうどん!明治時代から続く老舗うさみ亭マツバヤ

渡辺 陽 渡辺 陽
3代目の店主の宇佐美芳宏さん
3代目の店主の宇佐美芳宏さん

 大阪の南船場、心斎橋筋から続くメインストリートは、インバウンドで訪日する外国人に好まれる店でギラギラしているが、一筋西側に入ると昔ながらの落ち着いたたたずまい。創業1893年(明治26年)のうどんの老舗「うさみ亭マツバヤ」は、その一角にある。

■食欲をそそられる香り立つ出汁

 きつねうどんが運ばれてくると、箸を手に取って食べる前に、品のいい出汁の香りが湯気とともに立ちのぼる。阿蘇の花崗岩(かこうがん)をかめに入れ、毎日20リットルの水を注ぎ、その水を使って出汁を取るという。「花崗岩を使うと水の甘みが増すそうです」と、語るのは3代目の店主、宇佐美芳宏さん。利尻昆布と本枯節のかつお節を使って出汁を取るそうだ。しょうゆは小豆島にある醸造所で火を入れない、麹が生きている生醤油をマツバヤのために作ってもらっている。

■じわ~っと味がしゅんだお揚げさん

 きつねうどんといえば、麺の上にのっかったお揚げさんが主役だが、うさみ亭マツバヤでは、京の台所「錦市場」にある店から薄揚げを仕入れているそうだ。

 「京都の、その店では地下水を使って揚げや豆腐を作っているのですが、雑味がなくて美味しいんです。なたね脂とごま油をブレンドした良質な油で揚げてあって香ばしい。味をよく染み込ませるために、一度油抜きしています。二番出汁に佐藤と塩を入れたもので似て、一度火を止めて、揚げの上に昆布を敷いて2~3日浸して味を染み込ませています」

 昔は、甘みを出すのにざらめ糖を使っていたが、いまは、少し控えめな甘みが好まれるので、ピート大根から取れる砂糖を使っているという。

 「昔は、甘みがエネルギーになると思われたんですが、最近は品のいい甘みが好まれますね。老舗ではありますが、時代に合わせて少し味を変えています」

 麺は手打ちではなく、手もみした後に寝かせたものを使っているが、国産小麦粉と外国産小麦粉をブレンドして、もちもちした食感に仕上げている。

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