tl_bnr_land

梅雨時の体調悪化は気のせいじゃない…障害・慢性疾患がある人が相談できる支援制度と留意点「自分を守る環境整えて」【社会福祉士が解説】

もくもくライターズ もくもくライターズ

都内で一人暮らしをしている35歳の神田さん(仮名)。身体障害者手帳を取得しており、週5日、障害者雇用で事務補助の仕事をしています。10代のころから片頭痛に悩まされており、数年前には全身に痛みやこわばり、それに伴う疲労感が発生する「線維筋痛症」と診断されました。線維筋痛症は指定難病には含まれていませんが、日常生活や就労に著しい制限がある場合、障害年金を受給できる可能性があるため、神田さんも主治医と相談しながら、障害年金の申請を検討しています。

気圧や寒暖差の影響を受けやすく、梅雨の時期になると頭痛や全身の痛み、強い倦怠感が悪化します。特に梅雨の時期は朝起きられず、簡単な食事の準備や入浴も難しい日が続きます。仕事も休みがちになり、「今日も一日寝ているだけだった」「簡単な用事すらできない」と自己嫌悪を感じることもしばしばです。

さらに、周囲から「梅雨で体調が悪くなるなんて、気の持ちようでは」「みんな多少はしんどい」と言われ、理解されにくさを感じています。神田さん自身も、「これくらいで助けを求めていいのだろうか」と迷い、つらさを抱え込んできました。

気圧や気候の変化で、障害や慢性疾患の症状が悪化する人は少なくありません。急な体調悪化に備えるために、訪問看護やヘルパーなど、日ごろの負担を軽減するための支援制度が用意されています。

梅雨時期に起こりやすい不調の背景を知るとともに、障害・慢性疾患を抱える人が使える福祉サービスについて見ていきましょう。

梅雨で体調が悪化するのは「気のせい」ではない

低気圧や寒暖差、湿度の上昇は、自律神経の乱れにつながるとされています。その影響で、頭痛や関節痛、強いだるさ、うつ症状の悪化などが起こりやすくなります。

特に、障害や慢性疾患がある人は、もともと体調の変化に影響を受けやすい傾向があります。そのため、梅雨時期は生活リズムが乱れやすく、日常生活に支障が出るケースもあります。

一方で、こうした不調は外見から分かりにくいため、「怠けている」「気持ちの問題では」と誤解される場合も少なくありません。しかし、無理を続けると症状がさらに悪化し、生活や仕事への影響が大きくなることもあります。サポートを受けるのは甘えではなく、生活を安定させるために必要な選択です。

支援制度を利用して、体調悪化に備える

急な体調悪化に備えて、サポートを受けられるように、日ごろから準備をしておくことが大切です。

▽ヘルパー利用(居宅介護)|日常生活をサポート

家事支援・入浴や身の回りの支援・通院同行など、日常生活のサポートが受けられるため、生活リズムや体調の安定に役立ちます。

なお、ヘルパー利用(居宅介護)には、障害支援区分が区分1以上と認定される必要があります。利用を考える場合は、まずお住まいの自治体の福祉課に相談してみましょう。

▽訪問看護|体調不良を医学的に支援

普段の体調管理を自己判断だけに頼るのではなく、客観的、かつ医学的に判断してもらうため、訪問看護の利用を検討しましょう。

訪問看護は、主治医と連携しながら看護師が自宅を訪問します。医療的なサポートを受けられるのは、ヘルパーにはないメリットです。

訪問看護の利用を検討する際、急な体調不良の際に利用できる訪問看護ステーションかどうかを確認して契約をしてください。起き上がれないほどの不調が、一時的なものか命に関わるものなのか判断がつかないときは、相談先として活用できることもあります。

体調悪化に備えるためには?相談~利用までの流れ

日ごろの生活を見直し、事前に支援体制を整えておくと、体調を崩しやすい時期も安心して過ごしやすくなります。

体調を崩しやすい人が周囲の理解や支援を受けるには、次の点を心がけましょう。

▽主治医や周囲の人と困りごとを共有

梅雨時の体調不良について周囲の理解を得るには、不調が強くなる前に、主治医や支援者、職場の人へ事前に伝えておくのが大切です。

たとえば、「雨の日は頭痛が出やすい」「湿気が多いと疲れやすい」など、具体的な症状を伝えておくと、周囲もどのように対処したらよいかが分かります。通院や働き方についても、早めに相談してください。事前に調整できるため、職場の理解や支援を受けやすくなります。

▽ヘルパーや訪問看護を利用する場合の連絡先を確認

ヘルパーを利用するには、自治体への申請が必要です。初めて福祉サービスを利用する場合は、まずお住まいの自治体の福祉課へ相談しましょう。

すでに障害福祉サービスを利用しているなら、新たな申請が不要なケースもあります。その場合は、担当の相談支援専門員へ連絡してください。

訪問看護を利用する場合は、まず主治医へ相談しましょう。35歳の神田さんのように介護保険の対象にならない場合は、訪問看護は医療保険で利用するのが基本となるため、主治医からの訪問看護指示書が必要になります。その後、最寄りの訪問看護ステーションや自治体の相談窓口で、利用できる支援内容や手続き方法を確認してください。

なお、訪問看護と障害福祉サービスのヘルパー(居宅介護)は併用が可能です。

   ◇   ◇

梅雨時の体調不良に毎年悩まされてきた神田さんは、相談支援専門員に相談し、障害支援区分の認定を受けたうえで、定期的にヘルパーによる家事支援を利用する計画を立てました。また、食料や常備薬の備蓄を見直し、体調が悪い日は無理をしないよう意識しています。支援を利用しながら工夫を重ねた結果、年間を通じて心身の負担を軽減できるようになりました。

梅雨時の体調悪化は、気のせいや甘えではありません。障害や慢性疾患を抱える人にとって、梅雨時は気圧や湿度の変化で不調が強まる時期です。無理を重ねる前に支援を受けると、自分が楽になるだけでなく、周囲の心配や負担も減らせます。不調を1人で抱え込まず、ヘルパーや訪問看護などを活用しながら、自分を守る環境を整えてください。

【出典】

▽厚生労働省「障害のある人に対する相談支援について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/soudan_shien.html

▽厚生労働省「障害福祉サービスについて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html

▽厚生労働省「サービスの利用手続き」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/riyou.html

▽厚生労働省「訪問看護のしくみ」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000123638.pdf

▽東京都福祉局「3 訪問看護・介護予防訪問看護(新規に指定を受けたい方へ)」
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/kaigo_lib/shitei/4_houmonkango

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース