累計販売数500万超 世界初のマッサージチェアは大阪生まれ 廃品置き場で部品探し 業界トップへ登りつめた苦難の物語

クラブTVO編集部 クラブTVO編集部

温浴施設、空港などさまざまなところで見かけるマッサージチェア。実は世界で初めてマッサージチェアを作ったのは大阪・谷町に本社を置く創業70年の「フジ医療器」。これまでの累計販売数は約512万台。そのシェアは業界トップクラス。今回は小さな町工場から始まった「フジ医療器」が、マッサージチェアを世に広めるまでの苦労のヒストリーを紹介します。

銭湯での施術が人気と知り、マッサージチェアを思い付く

1954年、大阪・阿倍野区でタワシをはじめとするシュロ製品を作る工場を家族で営んでいた藤本信夫。

ある日、信夫はタワシの納品で訪れた銭湯の脱衣所でマッサージの施術が人気だと知り、マッサージを自動化できないかと思い付きます。

信夫はマッサージの機械を作るべく、廃品置き場で車のハンドルやチェーンなど廃材を集め、さまざまな試行錯誤を経て1954年世界初の「マッサージチェア」が誕生します。

当時の販売価格は7万円(大卒の初任給が5600円程度)と高額商品だったため、ターゲットは旅館や銭湯といった施設でした。

「フジ医療器」の本社には歴代のマッサージチェアが展示されており、当時の量産第1号機と同じマッサージチェアの姿も。電源を入れればまだ現役で動くのだそうです。

第1号機はモーター駆動でもみ玉が左右に揺れることで肩や背中を刺激するシンプルな作りで、ハンドルは当時の三輪自動車のハンドルを使用し、もみ玉は試作段階では軟式野球ボールで代用していたそう。

銭湯で置いてもらうため、営業社員が取ったあり得ない秘策

こうして誕生したマッサージチェアですが、主な部分の素材は木材だったため、水に弱いという難点がありました。

そのため、次に誕生したのはビニールコーティングを施した「A-1」。ビニール素材で水に強く、手入れもしやすい、そして朱色で空間に映えるデザインということで全国の銭湯にアピールしていくことに。

さらに秘策が。10円で3分動く「コイン式」を取り入れ、銭湯も儲かり、お客さんも気軽に使えるようにしました。

いざ、リヤカーに積んで売り込みへ!まずは無料で銭湯にマッサージ機を置いてもらい、銭湯にもお客さんにも認知してもらおうとしますが、今まで見たことのない商品のためなかなか使われませんでした。

そこで営業社員自ら銭湯に通いつめ、コインを大量に投入しマッサージ機が使われているように見せかけたのです。施設に認知されないと一般家庭にも普及しない、と今では考えられない手段を行なっていたそうです。

しかし、そうした涙ぐましい努力だけではなく、10円で気軽にマッサージが受けられる便利さや物珍しさから導入する銭湯が急増していきます。

さらに銭湯は男湯と女湯があるため1軒で2台導入、旅館は1軒で評判になると数珠つなぎで導入され販売効率が上がっていったのだそうです。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース