「畳の上でスーツケースを引きずる」「食事中に大声」 訪日観光客のマナー違反どう防ぐ…温泉旅館が考えた「おもてなしの工夫」とは

長澤 芳子 長澤 芳子

近年、円安や入国規制の緩和を背景に、訪日外国人観光客が増加しています。2024年7月の訪日外国人客数は329万2500人に達し、2カ月連続で過去最高を記録しました。この増加は、日本経済に好影響をもたらすことが期待されていますが、一方で、観光客のマナーに関する問題も浮上しています。

SNS上では「大仏殿の前で外国人観光客がビニールの音で鹿をおびき寄せ、つられて寄って来た雌鹿に子供が空の飴の小袋を投げていた」「優先席に土足のままベッドのように横たわりリラックスしている外国人観光客がいた」など、外国人観光客の行動がたびたび話題にされています。

このような事態が取り沙汰されている中、観光客が利用する宿泊施設でも「備品の持ち帰り」「無銭宿泊」など、多くの課題が浮き彫りになっているようです。しかし、外国人観光客の誘致は宿泊施設にとって業績向上に必要不可欠な要素。そのため多くの宿泊施設が、観光客の要望に応えると同時に、マナー改善に向けた取り組みを進めています。

実際にマナー問題対策をおこなっている、兵庫県北部・湯村温泉にある旅館「御宿コトブキ」に、具体的な取り組みについて聞きました。

ー御宿コトブキさんに宿泊する外国人観光客の人も増えていますか?

当館は比較的観光客の少ない地域にありますが、それでも町中で外国人の姿を見かける機会が増えています。もちろん宿泊者数も増加しています。

ー外国人観光客から過剰なサービス要求やマナー違反などの問題行為に遭われたことはありますか?

当館では事前に代金がクレジットカードで支払いされることが多いため、無銭宿泊のような事例は発生しておりません。ただし以前は現地支払いのお客様が来館されないケースがありました。

マナーに関しては、畳の上でスーツケースを引きずったり、食事中に大声で話をするといったことがありました。過剰なサービス要求は特にありませんが、お客様によってそれぞれ独自の滞在ルーティンを持たれていることが多く、他のお客様と違う流れでお食事などのサービスを提供させていただく場合はあります。

ートラブルを未然に防ぐために何か対策はされていますか?

お客様には事前に施設情報を紙でお伝えしています。エントランスの施錠時間や大浴場の開放時間など、細かく案内をすることである程度トラブルを未然に防ぐ対策になっていると感じています。

例えば畳でのスーツケースの取り扱いや食事中の声のボリュームに関しても、事前に説明することで問題を解決しています。お客様に前もって確認いただくことで、施設内でのマナーを守ってもらいやすくなります。

ー外国人観光客に対して、スタッフ間で共有されているルールやマニュアルはありますか?

ルールやマニュアルなどはありませんが、「一人一人のお客様により良い旅行を楽しんでもらうためのお手伝い」を心がけております。お客様がどちらから来られたのか、前日はどのように滞在されていたのか、明日以降の旅行スケジュールはどうなっているか、などお客様との会話の中で得た情報は全体で共有しています。

その中で日本語が堪能ではないお客様に対して、レストランの予約の確認を代行したり、近くのレストランで夕食を召し上がられる際にはそのレストランまで一緒に出向き、お店とお客様の間に立ったりなども、おもてなしの一環としておこなっております。

◆御宿コトブキ 医療グループが手掛ける兵庫県北部・湯村温泉の快眠に特化した全15室の旅館。各テーブルに設置された囲炉裏で味わう海山の幸の会席料理、睡眠の質を上げるためにお部屋で受けることができる快眠セラピー、良質で美人の湯ともいわれる温泉とともにお客様に寄り添った接客で、ご自身のメンテナンス&リフレッシュのためにリピートされるお客様が多数。

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