自民党総裁選が話題になっています。総裁選は、事実上、日本の次期首相を選ぶ選挙であるという意味において、(「自民党は嫌い・興味無い」という方を含めて)すべての国民に影響があるといえます。
今回の総裁選は、派閥解消や自民党への逆風等を受け、従来の力学や方法とは異なる形で、勝者が決まる可能性があるかとも思われましたが、その一方で、直近の様々な動きを見ると、結局は、旧来の論理が強く作用していくようにも思います。
が、それはまた別の機会に触れることとし、今回は、この流れの一因でもあり、日本政治の根幹の問題ともいえる「政治とカネ」について、改めて考えてみたいと思います。
各種世論調査を見ても、この問題について、国民の不信感は依然として根強く、そして、ここに根本的に取り組まなければ、日本政治の真の刷新は難しいと思うからです。
論点が多岐に渡るため、(1)権力闘争とカネ(2)その解決策(3)真っ当な政治活動にかかるカネ(4)その解決策、といったシリーズで書いていきたいと思っておりまして、今回は(1)権力闘争とカネになります。
なお、本稿は、国民と政治の間の溝がどんどん深まり、国としてある種の危機的状況にあるようにも見える中で、かつて政治の世界に身を置き、今は民間で仕事をし、双方の気持ちが切に分かる者として、外からは見えにくい「政治の実相や特有の掟」を明らかにし、なぜそうなっているのか、どうすれば変えられるのか、より良き政治を実現するにはどうしたらよいのか、を前向きに考えることを目指すものであり、なんらかの「暴露」のようなことを目的とするものでは全くありません。
無責任に批判をするのではなく、もちろん擁護するものでもなく、「なぜ政治の世界はああだったのだろうか?果たして、どうしたら変えられるのだろうか?」という問いについて、その実相を経験し、忸怩たる思いを持つ者として、真摯に考えることが、己の責務ではないかと考えた次第です。
【ポイント】
「政治とカネ」(1)
<前編>
・国民の政治不信はおさまらない
・「権力闘争に使われるカネ」と「真っ当な政治活動にかかるカネ」
・「カネが幅を利かせる」要因
・なぜ、日本の政治は変われないのか?
<後編>
・権力闘争にカネが使われる具体的事例
・日本で女性総理が誕生してこなかった理由