【政治とカネ(1)前編】なぜ「政治とカネ」の問題が起こるのか? 根本の原因を考える必要 「権力闘争」と「真っ当な政治活動」の区別と解決策 豊田真由子が解説

「明けない夜はない」~前向きに正しくおそれましょう

豊田 真由子 豊田 真由子

なぜ、日本の政治は変われないのか?

さらに、時代の変化にそぐわない「政治の常識は世の中の非常識」ともいえる様々なことが、残り続ける理由として、ひとつには、政治には定年制が無く、数十年前の旧来の価値観と絶大な成功体験を持ち続けたまま、意思決定のまさに中枢におられる方が多いことがあると思います。

もちろん、どんな分野においても、年長の方々の長年の経験や見識というのは、非常に有用で貴重なものだと思いますが、政治の世界は、そうした価値観の数とパワーが圧倒的に大きい、という特殊な環境であると思います。

さらに、「当選回数」に基づく絶対的な年功序列・上下関係があり、また、一般社会のような「人事における客観的評価手法」などは全く成り立たない特殊な世界で、力を持つベテランの方々が調整して、すべての人事や処遇を決めているという中では、たとえ、新人や若手中堅が、“政治特有の掟”に、違和感や拒否感を抱いたとしても、異論を唱えるなんて、とてもじゃないけどできるわけない、という事情があります。

したがって、新人や若手が、たとえ高い志や遵法意識を持って、政治の世界に入ってきた場合でも、「この世界で生きていくためには、“掟”に従わないといけない」、「下っ端がどうこう言う権限なんて無い」ということをすぐに悟り、さらに「国や国民のための政策を実現する前提としての選挙や地元活動、その他の様々な活動に忙殺され、実際にコストもかかることから、従来重視してきたはずの法規範性や遵法意識が、後回しになってしまう」といった傾向もあると思います。(もちろん、それではいけないのですが。)

その意味で申し上げれば、例えば、私自身は2期しか務めていない、一般家庭出身のヒラ議員でしたので、派閥パーティーのノルマを達成するのも大変で、いわゆる『派閥の裏金問題』とは縁がありませんでしたが、もし、期数を重ねて、「そういうものだ」と言われたとした場合に、果たして、その法的適合性等についてきちんと調べて、その上で、ひとりだけ強く異論を唱えられていたかどうかは、率直に言って、分かりません。

そうした忸怩たる思いと、政治と日本のより良い未来への強い希望も込めて、本稿を書かせていただいています。

次回は、権力闘争にカネが使われる具体的事例について見ていきたいと思います。

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