「理事長として不適切」近畿大学教職員組合が裏金疑惑の理事長・世耕氏に辞任要求 代々理事長務める世耕一族…大学の回答は

小森 有喜 小森 有喜

政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑が取り沙汰される自民党安倍派「5人組」の一角、世耕弘成・前参院幹事長。世耕氏が理事長を務める近畿大学(本部・大阪)の教職員組合が「本学の社会的評価の低下を招く」として同氏の辞任を大学側に求めていたが、12月21日に大学側が要求を退けた。

近畿大学の理事長は代々、世耕一族が務めており、弘成氏は2011年に4代目理事長として就任した(その後の内閣官房副長官などの就任期間中は退任)。

世耕氏は、所属する安倍派から1000万円を超えるキックバック(還流)を受け、政治資金収支報告書に記載しなかったとされる。今月19日には参院幹事長の職を辞任。すでに東京地検特捜部が任意の事情聴取を要請したと報じられている。

一連の問題を受け、近畿大学に複数ある組合の一つである「近畿大学教職員組合」は今月11日、学校法人近畿大学に対し、世耕氏の理事長辞任など7項目を求める団体交渉要求書を提出した。要求書では、関係者向けの説明会開催のほか「これまで理事長を中心に決めてきた本学の人事や経営方針についても疑念が拭えない」として、半数以上の理事や監事らの入れ替えも求めた。

組合側は「捜査への影響を口実にキックバックの有無すら明言しない世耕氏の不誠実な態度は学校法人理事長の対応としても不適切で、本学の社会的評価の低下を招く行為」と指摘してきた。

「学校法人理事長としての責任の果たし方を」

組合と大学側との団体交渉が開かれた21日。要求した項目すべてについて大学側は「否」とし、役員に対する懲戒規程の新設のみ「検討する」と回答するに留まった。組合側は「大学の社会的評価が低下することは、そこで働く教職員にとっても直接的な影響がある」と主張したが、大学側は「直接的に労働条件にかかわるものではなく、義務的な団体交渉事項ではない」として退けたという。

裏金問題が明るみに出た後も大学の理事会は開かれておらず、同組合の藤巻和宏書記長は「大学として嵐が通りすぎるのを待つ、という対応は適切ではない。自民党の有力議員としての立場があるのは分かるが、近畿大学を背負って立つ人がそれでは困りますというのが正直なところ」とする。世耕氏が参院幹事長を辞任したことについて「まだ法的責任が確定していない段階であっても政治家としての判断で降りたということだと思う。同様に学校法人理事長としての責任の果たし方があるはず」と話している。

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