「くるまにポピー♪」で一世風靡 昭和の自動車用芳香剤が、令和の今も売れている! 守り続けたレトロデザインに脚光

クラブTVO編集部 クラブTVO編集部

昭和に大ヒットした自動車用芳香剤「グレイスメイトポピー」。その独特なフォルムとキャッチーなCMソング「くるまにポピー♪」で広く知られていますが、実は今でも販売されていることをご存じでしょうか。しかも令和の現在も売り上げは拡大しているといいます。そこには創業者から引き継がれた商品を守り続けてきた信念がありました。昭和・平成・令和と3つの時代を生き抜いた商品の、波瀾万丈なストーリーに迫ります。

未知なる芳香剤の開発に挑戦

「グレイスメイトポピー」を作っているのは、大阪・豊中市にある化学メーカー・ダイヤケミカルです。3代目となる渡辺健文(たけふみ)社長(46)は、同商品についてこう語ります。

「ポピーは私の祖父で、ダイヤケミカル創業者の渡辺武雄が作った商品になります。昭和の時は大ヒットしまして、平成に入って少し売れなくなった時期もあったのですが、また令和になってじわじわブームがきているという『山あり谷あり』の商品なんです」

ポピーが誕生したのは、マイカーブームに列島が沸いた昭和50年代のこと。もともと同社はスプレータイプの芳香剤を販売していましたが、香りが短い時間しか残らないことが難点でした。初代社長は、車内で香りが「長続きする未知なる芳香剤」の開発を思いつきます。

香料会社のアドバイスも受けながら、液体に差した芯から香料を揮発させるという画期的なアイデアを得ましたが、アルコール・水・香料と、異なる性質の液体を調合することは困難を極めました。開発にかかった期間はなんと2年。ようやく理想とする芳香剤が完成しました。

また、ポピーといえば、あの独特なガラス瓶の形状が特色です。「大事なマイカーに乗せるものだから、高級感が必要」と考えた初代社長が、アイデアを求めて訪れたのは化粧品販売店。そこで香水のガラス瓶に目を付けます。「これやったらインテリアの一部になるはずや」。最終的には車内に置いた時の倒れにくさなどもふまえ、クリームの瓶をモチーフにデザインされたといいます。

こうして誕生した「グレイスメイトポピー」。1978年6月に発売開始されると、大変な売れ行きに。現社長は、「ものすごく売れすぎて、工場でも生産が追いつかず、お客さんが工場に取りに来たという話は聞いたことがあります」と振り返ります。なお、印象の強い商品名の「ポピー」については、「パピプペポが耳に残りやすいことから、初代社長が考えた」ものなのだそうです。

伝説のキャッチフレーズは…

大人気を博していたグレイスメイトポピーですが、ある人物が出演したCMのおかげで、誰もが知る商品になります。

発売から3年たった1981年、2代目の忠雄社長は、CMをつくることを決意します。出演者に選んだのは関西を代表する漫才コンビとして名高い、オール阪神・巨人の2人。

「当初は広告代理店の方から、関東のタレントで打診されましたが、当時の会長が『どうせなら長く付き合える方と』と、阪神・巨人さんを起用したと聞きました」と現社長。「今でもお付き合いがあって、たまに会社に来てもらったりしています」とのこと。

また、関西の人ならだれもが聞いたことがある「くるまにポピー♪」というフレーズは、なんとCMに出演したオール阪神巨人によるアドリブから誕生したものだそう。CMの最後でポピーを置いたおもちゃの自動車に乗るオール阪神さん。「ただおもちゃに乗っているだけやと、物足りへんなぁ」という思いから、アドリブで歌い上げたフレーズが注目を集めることになりました。

CMの効果は絶大で、1992年には「グレイスメイトポピー」シリーズの累計販売個数が7000万個を突破するほどに。しかし、ブームの終焉はすぐそこまで来ていたのです。 

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