バブル崩壊、ミニバンブームで逆風
その後、日本経済はバブルが崩壊。芳香剤も低価格の商が流行しますが、ポピーが低迷した理由はそれだけではありませんでした。折しもミニバンブームで、車のダッシュボードの形状が変化。車内から物理的にポピーを置けるスペースがなくなっていました。また販売から15年以上たち、「ポピーはおじさんのもの」というイメージが定着。若者たちから嫌われる風潮が出ていました。
「ポピーのデザインを変えませんか」…。そんな提案が社内でも出ていたそうですが、2代目社長は決して変更を許さなかったそう。
「こぼれにくいようにした瓶の口や芯の形状など、ポピーの考え抜かれた構造を崩したくなかった。祖父が時間をかけて作ったものを変えたくないという思いも引き継いだのだと思う」と現社長は語ります。しかし、復調の兆しは海外からやってきたのです。
ブームは海外から
1979年から海外でも販売していたポピー。しかし中国・インド製の偽物が本物の約半値で売られるなど、シェアを奪われるも手を打てずにいました。
しかし、2014年に本物の商品のクオリティに感動した、オランダの代理店と契約。地道に偽物を市場から排除し、本物が認知されるようになった結果、ヨーロッパの長距離トラックドライバーたちの間でポピーが大ヒットすることになります。
ヨーロッパは陸路での輸送が多く、長距離ドライバーが車内で過ごす時間が長いことから、大きな需要があったのです。代理店がヨーロッパ限定の販促物として、ポピーを光らせる専用台座を作り、夜はライトアップできるようにした施策も注目を集めるなど、売上が増加。ヨーロッパの液体芳香剤(運搬商用車部門)でシェア90%を記録し、この取り組みは国内でも話題になりました。
昭和レトロブームが思わぬ追い風!
海外のブームに乗って、日本でももう一度ポピーを復活させようと、同社は新商品を開発します。2018年に発売された「エアーポピー」。ポピーのデザインをそのまま小さくして、車のエアコンの吹き出し口の前に取り付けられるようにしました。ところが、この小型ポピーはまったく売れず、1年で製造が終了してしまいます。
しかし、2020年前後、純喫茶に女性が集まったり、昭和系テーマパークがオープンするなど「昭和レトロブーム」が到来。販売終了していた小型ポピーも注目を集めるようになり、2022年ごろにはフリマアプリで高額転売されている現象も確認されたそう。
これは…と倉庫に眠る大量の在庫をネット販売したところ即完売。これを受けて、小型のエアーポピーも再販することに。3カ月かけて全体のフォルムや瓶の質感を忠実に再現、よりオリジナルに近いミニチュア版ポピーをつくりあげました。また2023年4月にはポピーのカプセルトイも発売しました。
デザインを変えないという信念を大切にしながら、時代に合わせて変化しながら今なお愛されているポピー。その成功の裏には、創業者から現社長へと受け継がれてきた「時代に流されない強さ」があったのかもしれません。
ピンチを乗り越えるヒントを「心の支えになるものを持つ」と述べる現社長。「ポピーは私たちとずっと一緒にいてくれた、そのおかげで私たちも困難を乗り越えることができました」と語っています。これからの行楽シーズン前に「くるまにポピー♪」してみませんか?
番組情報
〇番組名
日経スペシャル もしものマネー道もしマネ
〇内容
『もしもの時』に備えるマネー道!マネー活用バラエティ!
〇放送日時
テレビ大阪 第1~3日曜日 午後2時放送!放送終了後はYouTubeチャンネル、TVerで無料見逃し配信中。
〇番組HP
https://www.tv-osaka.co.jp/ip4/moshimane/
〇もしマネYouTube再生リスト
https://www.youtube.com/playlist?list=PLtu-h0BP6Mk-n6KEfGFbhk6dQLJuhYTgU