「和牛日本一」の鹿児島で焼肉三昧! 10月には地元で「和牛のオリンピック」の王座防衛戦

山本 智行 山本 智行

 鹿児島県の和牛は評価、生産量とも日本一だ。当然、県内にはおいしい焼肉店が多い。この10月6日から10日にかけて”和牛のオリンピック”と言われる「第12回全国和牛能力共進会鹿児島大会」が霧島市などで開催され、連覇を目指す。5年に1度の大一番。その”前祝い”とばかり、日本一の鹿児島牛を味わい尽くした。

これぞ鹿児島、桜島の噴火をイメージした溶岩焼

 これはもうイリュージョンの世界といっていいだろう。その意外性とワクワク感。霧島市にある「溶岩焼 薩摩屋 霧島本店」の名物は、何と言っても「人気盛り」コースだ。

 独特なのは鉄板として、溶岩を使用している点。これに鹿児島のシンボル、桜島をイメージした容器が用意され、和牛ホルモンともやしが運ばれてきた。一体、どうなっていくのだろう。

 焼き始めてから、しばしの沈黙があり、何が起こるのかと思ったらホルモンがマグマの役割を演じ、お店の人が点火した瞬間にバーンと桜島が大噴火。炎が舞い上がる仕掛けだ。今回、取材に協力してくれたMBC南日本放送のタレント、赤塚里美さんの、この表情を見ていただけるだけで、臨場感がたっぷりと伝わってくるのではないか。

 もちろん、この溶岩焼きは見た目の演出が派手なだけではく、様々な効能がある。32度以上の熱が加わると遠赤外線が発生。ジューシーに焼き上げてくれるとともに焦げ付きがなく、煙も立ちにくい。女性店員は「桜島の溶岩はバナジウムや鉄分が豊富。表面に気泡があるため、食材が張り付きにくく、油を引く必要もない。おいしく味わえてヘルシー。ダイエットにもいい」と話してくれた。

 実際に味わうと、とろけるようなホルモンの脂味が、もやしに絡んで絶妙のうまさ。箸がどんどん進んだのは言うまでもない。さらに、もう一品。忘れてはいけないのが「3秒ハツ」だ。文字通り焼きすぎは厳禁。生レバーを味わう感覚を楽しむことができた。

ちょっと、おしゃれに贅沢に

 鹿児島と聞いて、すぐに思い浮かぶのが繁華街の天文館。その中心地に新しくできた商業施設「センテラス」にある焼肉店「ひら松」はセンスの良さが光る。店内はヒノキをベースにした落ち着いた空間が広がり、団体、個室とシーンに合わせた席を用意。なかでも、ちょっと贅沢に日本一の鹿児島牛を味わうならカウンター席がお勧めだ。

 何と言っても、ひら松の特徴はその繊細さとおもてなしの心。「土から育てる和牛」をテーマに掲げ、時間や手間暇を掛けて育て、加工後は温度、湿度、風までも徹底管理する「ドライ・エイジング」で熟成させていく。カウンター席では直営牧場から届いた希少部位を、これまたシェフが炭火で丁寧に焼き上げ、提供してくれるのだからたまらない。つまり最高の肉を、最高の状態で味わうことができるというわけだ。

 カウンター内をこっそりのぞいて、うなったことが2つ。ひとつは、針のようになったジャガードやミートテンダーを使用し、スジを切断して一段と肉をおいしく仕上げているところ。その上で鉄板は上から下へ傾斜が付けられているから脂分が下に流れやすい。さらに炭火も場所に寄って量を変え、火加減を調整していた。シェフに上手に焼くコツを聞くと「焼くと言うより温める感覚。手で触って、焼き具合を確かめたりもします」と返ってきた。

 うれしいことにランチメニューも数種類あり、この日は「本日の炭火焼きステーキ」を注文。3種類のお肉が皿の上で映えたのはもちろんのこと、肉の部位によって塩、山椒、タレを使い分ける気配りにも関心。さらに、予想を超えた量のカレーもドドーンと付いてきて、お得感満載だった。

 鹿児島の旅を始めるなら「ひら松」で腹ごしらえするのがお勧めだ。同行してくれた地元ラジオ局に務める前之園智子さんもご満悦。うっとりとした表情を浮かべていたのは言うまでもない。

特選黒毛和牛7種盛り…九州各地のお肉を食べ比べ

 最後に紹介するのは姶良市にある名店「やまさきの焼肉」だ。こちらの特徴は確かな仕入れルートを持っているところ。店長は「日本一の鹿児島牛はもちろん、宮崎牛、長崎和牛、佐賀牛、糸島牛などその時々に応じてベストの肉をセレクトして提供しています」と胸を張った。

 店内は半個室や30人程度の貸し切りスペースも用意されており、用途に応じて幅広く対応できそうだった。しかし、考えてみれば、この日いただいたお肉は、いわば”和牛をオリンピック”の前哨戦のようなものか。どの肉もおいしかったけれど、白黒つけるとすれば、やはり鹿児島牛ではなかったか。

過去最多の41道府県が参加、本命は鹿児島?

 折しも全国和牛能力共進会鹿児島大会は来月開催され、種牛と肉牛合わせ、全国各地の予選を勝ち抜いた439頭が登場する。鹿児島での開催は1970年の第2回以来、実に52年ぶりとあって、全県挙げたイベントになる。しかも、今回は和牛日本一の栄誉を目指して過去最多41道府県が参加するとのこと。ライバルは宮崎をはじめとする九州勢、もちろん、岡山や鳥取も黙っていないだろうが、個人的には鹿児島のV2濃厚とみた。

※メニューや値段はお店のホームページで、ご確認ください。

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