政府に緊急提言 緊急事態宣言はほとんど効果が無い、発想の転換が求められている

「明けない夜はない」~前向きに正しくおそれましょう

豊田 真由子 豊田 真由子

海外では、新型コロナに関する規制の緩和・撤廃をしている国もあるが、日本は?

最近、「世界には、ワクチン接種が進み、感染防止のための国民の規制を緩め、社会経済活動を再開させている国もあるのに、日本は厳格過ぎるのでは?」というご質問を受けます。ワクチン接種率のほかに、ここで考慮すべき重要な点として、「その国の過去の感染状況がどのくらいであったか。そして、感染が再拡大した場合に、国民がどこまでそれを許容できるのか。医療が対応できるか。」といったことがあると考えています。

そして、いったん緩和した国も、感染が再拡大して規制を再強化するといった形で、どこも悩みながら迷いながら、なんとか前に進んで行こうとしている、という状況です。

いろいろと他国の関係者の話を聞くと、感染状況が極めてひどかった国では、多少感染者が増えても「あの頃よりはマシ」と考え、受け入れられる傾向にありますが、一方、感染が抑えられてきた国では、少しでも感染が拡大することについて敏感に反応し、なんとかそれを避けようとする傾向が強い、ということがいえると思います。

具体的に申し上げると、例えば、ロックダウン解除、マスク着用やソーシャルディスタンス確保の緩和・撤廃といった措置を取ってきている米国、英国、イスラエルを例に取ってみると、これまで、感染ピーク時の一日の新規感染者数・死者数は、米国(人口3.3億人)は25万人・3400人、英国(同6700万人)は6万人・1250人、イスラエル(人口920万人)は9千人・60人、一方、7月26日時点での一日の新規感染者数・死者数は、米国5.7万人・270人、英国は3.6万人・65人、イスラエル1400人・2人です。

いずれの国も、ピーク時はもちろん、現時点でも、人口当たりで見て、感染状況が日本よりかなりわるい中で、規制が緩和・撤廃されてきていることが分かります。

ただし例えば、米国では、7月28日、「感染拡大地域においては、ワクチン接種完了者も屋内でのマスク着用を推奨する」とCDCの指針が再改訂され、オランダでは、6月下旬に社会活動の再開を進めたものの、感染者が急増し、規制解除が時期尚早だったとして、7月12日から規制再導入となりました。

一方で、感染がほぼ抑えられてきた国、例えば、ニュージーランド、オーストラリア、台湾などでは、数名といった非常に少ない感染者数でも、国内で発生すれば、なんとか封じ込めようと、厳しい国境封鎖やロックダウンが繰り返されています。これに対して、例えば、オーストラリアのシドニーやメルボルンでは、7月24日、ロックダウンに反対する大規模なデモが行われ、警察と衝突が起こりました。

どの国・地域も試行錯誤が続きます。

これについては、「これがただ一つの正解!」というものでは、おそらくなく、基本的には価値判断の問題であり、最終的には、国民がなにをどこまで許容するか、そうしたことも踏まえた国家の政策判断ということになると思います。

その意味においては、病床やスタッフ等の医療の状況を抜本的に改善する方策を取ることができれば(ここはぜひ思い切ってやっていただきたいと思います)、ワクチン接種の進展も踏まえ、これまでと同じ「自粛!我慢!外出不可!時短!会っちゃダメ!飲食ダメ!」の繰り返しではなく、“コロナと共生していく”という現実への多少の方針転換も、可能性としては考え得るのではないかと思います。

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