「鉱」この名字、読めますか? 出雲にある製鉄に因んだ名字の1つ…精錬されていない原石を1字で読ませました

日本の難読名字

森岡 浩 森岡 浩

「鉱」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。

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島根県にある「鉱」一字という難読名字。

島根県の出雲地区は、古くから鉄の産地として栄えた。この鉄をバックボーンとして出雲には出雲大社を中心とする古代王国が生まれ、大和国を中心としたヤマト政権に対抗する有力な氏族だった。やがてヤマト政権に取り込まれていくが、出雲神話などにその名残が残されている。

出雲神話で天上界を追放されたスサノオノミコトが剣でヤマタノオロチを退治するのは、暴れ川であった斐伊川を鉄製の道具を使って治水したことを示しているともいわれる。

さて、出雲地区には、「金築」「鑪(たたら)」など、製鉄に因んだ名字がいくつかある。そのうちの1つが「鉱」である。

鉄は掘り出した鉄鉱石を製錬して鉄にするわけだが、まだ精錬していない原石のことを「あらがね」といった。通常は「粗金」や「荒金」と書いたが、掘り出した状態の鉱石の「鉱」の字一字で「あらがね」と読ませることもあり、これを名字にしたものだ。

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