最近、一般照明用の蛍光ランプ(蛍光灯)の製造・輸出入が2027年までに段階的に廃止されることが話題です。
筆者の実家でも春の模様替えをきっかけに、ようやく取り替えなければ……となったのですが、照明器具をLEDランプに交換すれば良いという問題ではなさそうな様子。もしかして取り替え工事が必要となってくるのか?!詳しいことを、パナソニック(東京都品川区)の担当者の方に伺ってみました。
LEDランプに取り替えればいい、だけではない!?
ーー蛍光灯の販売が終了ということは、蛍光灯が手に入らなくなるんですよね?!
「はい。2027年ですべての一般照明用蛍光灯は製造・輸出入が禁止されます。当社では電球型蛍 光灯は既に生産終了しておりますし、2026年にはコンパクト型蛍光灯も終了を予定しております。 一般用丸形蛍光灯などは国際条約での期限は2027年12月末ですが、当社では生産終了を見極 めの上、2027年9月末で生産終了予定です」
ーー蛍光灯が手に入らなくなったら、「LEDランプに変えたらいい」という問題ではないのでしょうか?
「一般論として、『工事を伴わないランプ交換によりLED化が可能なのはLED電球だけ』とお考え下さい。それ以外の器具、例えば直管や丸型の蛍光灯、ツイン蛍光灯器具などは、内部に蛍光灯専用の安定器という電源が存在します。そのため、LED化する場合は電源を切り離す処置を行うか、器具ごと交換する必要があります」
ーー蛍光灯のように細長い形状のLEDを見かけたので、直管型の蛍光灯は、それに変更すればOKとばかり思っていましたが…
「前述の通り、蛍光灯器具の内部には安定器と呼ばれる電源が内蔵されておりますので、電源を切り離す作業が必要ですね。また安定器の方式(インバータ式やラピッドスタート式など)も複数存在するため、この安定器を切り離す電気工事をしないまま、直管LEDランプへの交換はおすすめできません。(一社)日本照明工業会も同様のスタンスを示されています」
ーーでは、蛍光灯を使用した照明器具の取り替えタイミングはまさに今ですか?
「多くの家電製品同様に、照明器具も経年で内部の部品は劣化します。10年を越えたあたりから故障率も上がりますし、それに伴い、予期せぬトラブルを引き起こしかねないリスクも上がります。いま出回っている蛍光灯を使用した照明器具は、ほとんどこの耐用年数を超えたものと思われます。従って、LED化をご検討の際は、器具ごと交換をご検討いただきたいと思います」
ーー照明器具って簡単に取り替えられるものですか?
「LED照明器具の場合、天井についている配線器具によっては、簡単に取り付けができます。一度ご自宅の配線器具を確認してみてください」
ーー筆者の自宅の蛍光灯照明器具は、前述の配線器具がついておらず、天井に照明器具がぴったりとボルト固定されているタイプです。どうしたらいいですか?
「天井に配線器具が無く、ボルトやねじ止めなどで直付けされている器具の場合は、電源線が直接器具に挿し込まれる構造になっていますので、電気工事士に作業を依頼していただく必要があります。お近くの電気店様や工事店様へご依頼ください」
ーーちなみに、LED照明と蛍光灯の違いはなんですか? LEDのメリットは?
「LED照明は、瞬時に点灯し、点灯の繰り返しなどによる寿命への影響も受けにくい特性があります。さらに省エネ性に優れ、一般的には蛍光灯の半分程度の電気代に抑えることが可能ですし、蛍光灯より長寿命というメリットもあります。例えばシーリングライトなら、10年間で約2万9000円お得ですので、早く導入する事で電気代のメリットを早く享受することが出来るようになります。ほかにも下記のようなメリットがあります」
・約4万時間と寿命が長い
・紫外線放射量が少ないため虫が寄りにくい
・点灯消灯を繰り返しても寿命には影響がない
・光色のバリエーションが豊富
・点灯中の発熱が少なく熱くなりにくい
ーー寿命が長いと言われているので、中には半永久的に使えると思っている人もいるようですが、実際はどうでしょうか?
「以前弊社の調査でも、LED照明が使用できる期間について、3割以上の人が使い始めてから『11年~半永久的』に使用できると思っていることが判明しています。使用頻度にもよりますが、一般的なLED照明の寿命は約10年と言われています」
割と簡単に考えていた実家照明のLED化だったが、現状の照明器具ではLEDライトが使えない、照明器具の劣化など、意外な落とし穴が判明。ギリギリになると在庫が品薄になったり、電気工事会社が忙しくなり対応が遅れるかも。慌てる前に、早めのチェックがおすすめです。
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パナソニック
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