「この問題の答えを探し続けている」
X(旧Twitter)にて、あいくろう(@Cater_Cats)さんが公開された漫画の内容に、多くの共感の声が上がりました。
2019年4月に「働き方改革関連法」が施行され、各企業がそれに合わせて社員への就業規則を変更するなど、労働者の働く環境や仕事の有り様は、昔と比べて変化してきています。
もちろんこれは本来、労働に携わる方々が、より良い働き方ができるよう取り組まれていることです。しかし、急激な変革には弊害もつきもの。あいくろうさんは、政策や労働環境の変化によって労働者が陥りがちなジレンマについて、端的に3コマ漫画で紹介しました。
たくさんの仕事を少ない人員で行わなければならず、会社に調整をお願いしてもそれもなかなか叶わない――。
残業しようにも、時間に上限が――。
にもかかわらず、仕事の納期は厳守。間に合わないと会社や顧客から叱られてしまう――。
まさに八方ふさがりな状況を描いた漫画。Xのリプ欄にも、たくさんのコメントが寄せられました。
「私も、忙しい、時間がない、とか言われるくせに残業させてくれない」
「なんかなぁ…働かせたいのか働かせたくないのかはっきりして欲しいもんですな…」
「分身の術を身につけるしか」
「1日16時間勤務が懐かしい」
「何処も同じなんだなぁと思いました」
「無理しないでね…」
あいくろうさんにお話を聞きました。
――あいくろうさんは、現在どのようなお仕事をされているのですか?
あいくろうさん:詳細はお伝えしかねますが、メーカーの技術設計の仕事をしています。
――今回の漫画のような状況に陥ることはよくあるのですか?
あいくろうさん:自身の仕事内容は少し特殊で、他部門の仕事と今籍を置いている部門の仕事、二つを掛け持ちしています。そのため、周りと比較しても業務量が多く、今回のエピソードのような状況に陥ることは度々ありました。幸い納期に間に合わなかったことはありませんが、危なく感じた場面は多くあります。
――以前の労働環境や仕事の有り様はいかがでしたか?
あいくろうさん:私がいまの会社に入社した頃は、まだ「働き方改革」に本腰を入れていなかった時期で、いわゆるサビ残(サービス残業)も平気でできる時代でした。悪い点をいうと、お金にならない労働ほど苦痛なものはありませんでしたが、いい点をいえば今のような縛りがなかった分自由はあり、どうあがいても仕事を片付けられない不安感――みたいなものはあまりありませんでした。
――現在の状況を改善するために、ご自身なりに取り組まれていることは?
あいくろうさん:上層部に人手不足を常に訴えるようにはしています。まだ人員を増やしてもらえたことはないのですが、何も言わないよりは良いと思っています。また、自分の仕事を自分だけで抱えず、周りのチームと共有するようにしています。漫画にも描いた通り、今は過労ラインを超える残業も、サビ残のようにこっそり仕事をすることもできないため、定時で仕事を終えるしかありません。なので自分がそうなったとき、誰かがフォローに入れるように仕事内容を共有するよう心がけています。
――今後、政策や社会の在り方について、どのように変わっていって欲しい、という希望はありますか?
あいくろうさん:この問題に対してどうする――と答えるのは難しいですが、「働き方改革」自体は必要な制度だと思ってますので、各企業が見切り発車でシステムを作らずに、現状を整理したうえでそれに見合った仕事のやり方を考えていければよいのではないでしょうか。
◇ ◇
「正直、これだけの共感をいただいたことに驚いています」
今回の投稿に対する反響について、あいくろうさんはこのように語ります。
それだけ、たくさんの企業・そこに携わる働き手の皆さんが、業務と政策との板挟みに悩まされているということなのでしょう。
労働者共通の悩みを、ポップな漫画で紹介してくれたあいくろうさん。「仕事のストレスは創作活動で解消している」といいます。
「Xのほうでは、合成音声ソフト・VOICEROIDのイラストをよく描いています。また、ニコニコ動画をメインに釣り・料理・作曲の動画投稿も行っていますので、興味があればのぞいてみてください」(あいくろうさん)
■あいくろうさんのX(旧Twitter)はこちら
→https://x.com/Cater_Cats
■あいくろうさんのニコニコ動画はこちら
→https://www.nicovideo.jp/user/96034785