金沢市民にとって馴染みのある、笹で巻いた「芝寿し」の誕生物語がXで注目されました。
「昭和30年、金沢市片町で東芝の炊飯器を売るために、ご飯を炊く実演をしていたら大量にご飯が余ってしまう事態に。
そこで、電気炊飯器で炊いたお米を冷めても美味しくご飯を食べられる方法を考えた結果、寿司として販売。
これが大ヒットを生み、金沢市民は知らない人はいない、『芝寿し』になった。」
こんな投稿をしたのは「金沢まちゲーション」(@kanazawacom)さんです。おしゃれなカフェを開いたらその環境から「デカ盛り定食屋」になってしまったという「こんなはずじゃなかった」ポストを受けての投稿でした。
「冗談かと思ったらマジだった 芝寿しの『芝』って東芝由来なのか・・・30年金沢民してて初めて知りました」
「県民としてはそれは知らなかった(^_^;) その結果、県民のソウルフードになって愛されてるから不思議」
「芝寿しってそんな由来が?!全然知らんかったです。」
投稿には、驚く声がたくさん寄せられています。
金沢まちゲーションさんは、気になって調べたことがあるそうで、初めて「芝寿し」誕生物語を知ったときはコメントと同じように驚いたと話します。
「芝寿しの笹寿しは親戚の集まりではマストアイテムです。笹に具材ごとに帯が巻いてあり、鮭は赤い帯と鯛(今は連子鯛)は白い帯となってます。地元では笹寿しの赤・白といえば何の具材か通用するくらいメジャーです。また、イベントで出される芝寿しのお弁当は彩り豊かで、出てくると嬉しいですね」(金沢まちゲーションさん)
金沢を中心とした情報発信をおこなっている「金沢まちゲーション」さんは、「金沢の魅力は新旧の文化や建物が混ざりあい、積み重なったところです。まさに芝寿しも古くから食べられている笹寿しを当時最新鋭の東芝の電気炊飯器で炊いて余ったご飯で作った、新旧の融合といえるでしょうか。芝寿しの笹寿しは地元の人は誰でも知ってる一方、観光客にはまだ知名度が低いのかもしれません。ぜひ、多くの方に一度食べて欲しいです」と話しています。
金沢まちゲーションさんがポストしたように、「芝寿し」は昭和30年に金沢にあった電機メーカー「東芝」のショールームから始まりました。東芝のHPによるとまさにその年(1955年)に、日本初の自動式電気釜の第一号機「ER−4」が発売されています。
「開発に要した3年間は困難を極めたものでしたが、発売から4年後には全家庭の約半数に普及。タイムスイッチを使って指定した時間にご飯が炊ける電気釜の出現は、主婦の家事労働を大幅に軽減し、生活様式にも大きな変化をもたらしました。」(東芝HPより)
「芝寿し」の創業者・梶谷忠司さんも発売されたばかりの電気炊飯器で実際にご飯を炊いて見せるデモストレーションをショールームでおこない、炊飯器が飛ぶように売れたそうです。しかし実演で炊いたお米があまってしまうのはもったいないということで生まれたのが、寿司を笹で巻いた笹寿しです。そうして昭和33年には東芝のショールームをやめて「芝寿し」を創業しました。
芝寿しの担当者さんは、「東芝のショールームであったことを伝えたいというよりも、そのショールームで実演販売をしたことで生まれた『勿体ない精神』で、余ったご飯をどうするかと考えて、地元石川県・金沢などでハレの日に作られていた押し寿し文化などから現在の笹寿しが生まれたことを、芝寿しの成り立ちのエピソードとして大切にしています」
「みな様に愛され続ける押し寿し文化を残していくこと、芝寿しがあってよかったと思っていただけるように幅広い年代の方に伝統の味を届けて行きたいという思いです」と想いを話しました。
◾️金沢まちゲーションさんのX https://x.com/kanazawacom
◾️芝寿しのHP https://shibazushi.jp
◾️東芝「PRODUCT HISTORY 炊飯器」 https://www.toshiba-lifestyle.com/jp/corporate/rd/research/history/ricecooker/