「梵」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩が日本人の難読名字を紹介します。
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2017年までプロ野球の広島カープに「梵英心」という選手がいたので、野球ファンにはおなじみの名字。しかし、極めて珍しい名字のため、その他の人はまず読むことができない。
今では、武士に限らず農民でも江戸時代から名字を持っていたことはわかっているが、そうした中であえて名字を持たなかったのが僧侶である。僧侶は出家した際に、俗世間から離れるために名字を捨てて、僧侶としての名前を名乗っていた。
しかし、明治になるとこうした僧侶達も名字を名乗ることを強制され、僧侶たちは仏教用語や経典の言葉などから新しい名字をつくることが多かった。
「梵(ぼん)」とは、仏教において宇宙を支配する根源的な原理、というようなもののこと。そして、「梵」という漢字の本来の意味が、「木の上を風が吹く様」であることから、「梵」を「そよぎ」と読ませたものである。
なお、広島県にある梵選手の実家もお寺で、現在はJFE西日本硬式野球部コーチをつとめている。