優秀でなくても「この人なら任せられる」と思える相手の条件は? 干された新人が胸を打たれた上司との対話 気づいた“信用の花の根っこ”の重み【漫画】

海川 まこと 海川 まこと

仕事をする上で、「この人なら任せられる」と思える相手がどんな人なのか考えた時、どんな人が思い浮かぶでしょうか。漫画家の吉谷光平さんがX(旧Twitter)に投稿している作品『ブラック部署で干された新人が生き抜こうとした話』では、「仕事を任せる上で本当に大切なもの」について考えさせられると話題になっています。

物語は、ある日上司が部下に対して「人に仕事を任せるときに最も重要な判断要素はなんだと思いますか?」と聞く場面から始まります。部下の少し考えると、「優秀な人材」と答え、だからこそマナーや気配りよりも実務を教えてもらって優秀になりたいと懇願します。

しかしそれに対して上司は、「知識や実務の経験の優秀さは一朝一夕では身につかず先輩を超えるのはいつになる?」と質問し部下の願いを却下するのでした。しかしこれは、部下を絶望させるために言った言葉ではありません。その後に上司は、仕事を任せる上で優秀さは1つの判断基準でしかなく、人に仕事を任せるうえで最も重要な基準は「信用」と語ります。

この話を聞いて「優秀だから信用してもらえるのでは?」と疑問を持つ部下に対して、上司は花に例えて話を続けます。「優秀という要素は花でいう幹の部分でしかなく、大切なのは土台となる根っこの部分。どんなに美しい花も根っこが悪ければすぐに枯れてしまう」と上司は語るのでした。

部下は上司の話を聞き、肝心の根っことは何か知りたがるものの、上司は「これは私が教えてはいけない。ご自身で気づくしかないのです」「ただし、この答えが心の底から理解できた時、動機や先輩、この私さえも一瞬で超えることができますよ」と言い、その場を立ち去ります。

ここで場面は一転し、とある河原で上司からの言葉を聞いた部下は、親しい同僚に「根っこ」とは何なのか分からず相談します。この話を聞いた同僚は、「良いヤツになれ」や「信用が全てです」などの先輩たちの教えを思い出し、ハッとします。同僚が気づいた「根っこ」とは、約束を守ることや裏切らないことなどの、「いいやつ」であることだったのです。

それと同時に同僚自身が、いつも自分自身の都合を優先しており、他人のために行動出来ておらず「いいやつ」ではなかったことを自覚します。上司が教えてくれなかったのは自己犠牲しなさいといえばパワハラになるし、思いやりを持てといっても、本人に自覚がないと伝わらないからだったのだと悟るのでした。同作のSNS投稿への反応には「この漫画はまるで自分で考えて成果を出せない人への啓示だな」や「これが分からなかったから最初の会社では上手くいかなかった」など、さまざまな感想が集まっています。そこで同作について、作者の吉谷光平さんに詳しく話を聞きました。

ーとても深いテーマですが、この話を描こうと思ったきっかけや、インスピレーションは何だったのでしょうか?

ゆとり世代と呼ばれる今のアラサー世代には、まだブラックな労働環境が多く残っていました。僕自身も、今思うとかなりブラックなサラリーマン生活を送っていましたね。決して推奨すべきことではありませんが、得られるものや学びもありました。今と対比する形で描くことで、面白さが出るのではと思い、この作品を描きました。

ー信用の「根っこ」を育てるために、大切だと思うことや、ご自身が日常で意識していることはありますか?

辛い時こそ、自分より目の前の人を大切に思うこと。 これに尽きると思います。とは言っても、なかなか難しくて、全然できていませんが(笑)

ー読者からの反響の中で、特に印象に残ったコメントやメッセージはありましたか?

反感の声もありましたが、それ以上に共感の声が多くありました。 皆さん、新人教育や人間関係に悩んでいるのだなと感じますね。

<吉谷光平さん関連情報>
▽X(旧Twitter)
https://x.com/kakikurage
▽今どきの若いモンは 連載サイト(サイコミ)
https://cycomi.com/title/87
▽電子書籍版今どきの若いモンは(Amazon)
https://amzn.to/3XX1ahE

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