「墾」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。
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新しく土地を開墾することを、古語で「あらき」といった。こうして開かれた土地も「あらき」といって地名となり、そこに住んだ人が名乗ったのが「あらき」さんである。
全国各地にある「荒木」という地名をルーツとし、名字としても全国ランキングで152位に入るメジャーな名字である「荒木」のルーツは、この「あらき」に後から漢字を宛てたものである。確かに「あらき」という言葉に素直に漢字を宛てると「荒木」となる。万葉集に「斎種(ゆだね)蒔く 荒木の小田を 求めむと 足結(あゆひ)出で濡れぬ この川の瀬に」という歌があるなど、開墾地の「あらき」を「荒木」と書くのは広く使われていたとみられる。
この他にも、「あらき」には「新木」「荒城」「荒記」など様々な漢字があてられた。そうした中、本来の「開墾」の意味を残して「墾」一字で「あらき」と読ませる名字が兵庫県にある。