かつて美容で話題になっていた「コエンザイムQ10」が、実は“疲労回復”に役立つらしい…ってご存知ですか? サプリなどで摂取するイメージが強い物質ですが、日々の食事で簡単に摂取できるそうなんです。栄養士の先生に教えてもらった「手軽に食べられるレシピ」をご紹介します。コロナで身も心も疲れることが多い日々ですが、コエンザイムQ10にチカラをもらってみませんか。
「還元型」コエンザイムQ10の登場であらためて注目
コエンザイムQ10は15年ほど前「美容ブーム」で注目された物質。ちなみにコエンザイムQ10には「酸化型」「還元型」の2種類があり、近年「還元型」の商業的な生産が可能になったことで、あらためて注目を集めているのだそうです。レシピの内容をより理解するために、還元型コエンザイムQ10について調べてきました。
―コエンザイムQ10にもいろいろな種類があるのですね。
近年注目を集めている「還元型」コエンザイムQ10の特徴は、「酸化型」と異なり、体の中で変換せずともダイレクトに働くことができるということです。「抗疲労」「睡眠」などに効果があると科学的に認められ、2015年からはサプリメントなどに機能性表示もできるようになりました。
―そんなコエンザイムQ10ですが、食品で摂取できるんですね。
コエンザイムQ10は肉、青魚といった食材に多く含まれます。肉でも豚肉・牛肉よりイノシシ・シカなどのジビエに多いことが分かっています。特にツナ缶には還元型コエンザイムQ10がたくさん含まれていますね。
ただ、食材によって酸化型・還元型の含まれる割合はばらつきが大きいので、食べる時は還元型、酸化型の違いは意識していただかなくてもよいと思います。
―コエンザイムQ10を効果的に摂取するために調理などで気をつけることはありますか。
コエンザイムQ10はかつて「ビタミンQ」と呼ばれていたことがあり、調理による損失はビタミンと同様に考えていいでしょう。
食べ合わせですが、ビタミンEが抗酸化活性を示す時に還元型コエンザイムQ10が関わっているので、一緒に食べると相性はいいです。
またエネルギー生産の観点でいえば、ビタミンB、クエン酸、還元型コエンザイムQ10の組み合わせもおすすめです。夏バテに効くレシピとして「ウナギ、豚肉(ビタミンB)、疲れたらお酢(クエン酸)」という組み合わせを多く見かけますが、これは3つの栄養素の連動をうまく生かしたかたちです。酢豚、鳥のさっぱり煮、生姜焼きにお酢をちょい足ししたビネガー炒めなどもよいですね。
―疲労に効く物質や栄養素が数ある中で、コエンザイムQ10の摂取がすすめられる理由はなんでしょうか。
よく栄養士の方が「疲労回復のためにビタミンB群を摂る」レシピを紹介されていたりしますが、機能性表示制度で「疲労」を軽減すると受理されている栄養素はありません。還元型コエンザイムQ10は「臨床研究にて疲労感の軽減」というエビデンスがあることから、疲労対策の栄養成分としておすすめです。
また、「免疫老化」といいますが、加齢とともにミトコンドリアの機能が低下して、免疫機能が下がるとといわれています。還元型コエンザイムQ10はミトコンドリアを活性化させる成分ですので、コンディション維持にもいいと思います。
―1日にどれくらいの分量のコエンザイムQ10を摂ることが理想なのでしょうか。バランスのよい食生活でそれだけの分量を取得することは可能でしょうか。
食事から1日に5㎎のコエンザイムQ10を摂っているといわれています。肉、魚を意識して摂っていれば十分にコエンザイムQ10を摂れると思います。
ただしダイエットをされている方や、菜食が中心だったり、肉・魚が苦手な方、そしてコエンザイムQ10を多く消費するような身体負荷が高い方は、食事だけでは必要量を摂取することはなかなか難しいと思います。サプリメントで摂取されるのもおすすめです。