長年、共に暮らした“小さな家族”を虹の橋へ見送った経験がある人は少なくないでしょう。Xユーザー・さびたさん(@sabita_neko)もそのひとり。大切な愛猫との別れに打ちひしがれ、悲しみに暮れる中、運命の出会いは突然訪れました。
「2022年7月2日の夜、母が家の勝手口の窓を開けた瞬間、目の前を1匹の子猫が走り抜けました。小さな体で懸命に駆ける姿に、母は驚いたそうです」
すばしっこいその子猫を、ごはんで誘いながらそっと保護。おなかを空かせていたため、近寄って来てくれたようです。家に迎え入れると、子猫はひどく怯え、飼い主さんが帰宅するまでケージの隅で小さくなっていたといいます。
「母がこの子猫を保護しようと考えたのには、理由がありました。それは、私がペットロスに陥っていたからです。約8年間、共に暮らした黒サビ猫の『なつめ』を亡くし、私は毎日泣いてばかりでした。そんな姿を見て、母は『同じサビ柄の子猫がいれば、少しでも立ち直れるのではないか』と考えたそうです」
帰宅し、自室へ向かった飼い主さん。ケージの中でこちらを見つめる子猫と目が合った瞬間、「この子は、なつめの生まれ変わりだ!」と運命を感じました。こうして、黒サビ猫の女の子「るい」ちゃんは、新たな家族の一員になったのです。
疥癬の治療が続く中、気づいたこと
るいちゃんは保護当初、ひどい疥癬(かいせん)を患っていました。病院で治療のための注射を打ち、お風呂に入れて体を清潔に保ち、先住猫の「とら」くんと接触しないように隔離。さらに、毎日部屋の掃除に追われる日々が続きました。
「もうひとつ大変だったのが、るいの“粗相”でした。トイレは覚えているのに、なぜか私の布団の上で毎日のようにしてしまう。片付けに追われながらも『なぜだろう』と考え、るいの様子をじっくり観察しました」
すると、粗相をした後、るいちゃんが飼い主さんの表情を気にしているように見えました。
「もしかして、不安を感じているのでは…? そう思い、『あなたのことを何があっても捨てたりしないし、心から愛しているからずっとここにいていいんだよ』と声をかけたのです。すると、その日から、粗相はピタリと止まりました」
こうして、約2〜3カ月の治療とケアを経て、るいちゃんはすっかり元気に。そして家での暮らしにも、少しずつ慣れていきました。
先住猫との関係と広がる家族の輪
お迎え当時、飼い主さんの家には先住猫のとらくんがいました。るいちゃんの隔離期間が終わり、いざ初対面を果たしたとき、とらくんはおっかなびっくり。警戒心を見せていました。
「でも、とらはもともと温厚な性格。次第にるいを気にかけるようになり、少しずつ世話を焼くようになりました。今では、一緒にお昼寝をしたり、毛づくろいをしたりする優しいお兄ちゃんです」
その後、新たに迎えた「ふぅ」ちゃんとは、年齢が近かったこともあり、すぐに打ち解けて仲良くなりました。
「るいは、猫に対してとてもフレンドリー。自分から『遊んで! 遊んで!』と積極的に近づいていくので、とらやふぅともすんなり仲良くなれました」
るいちゃんがもたらした家族の幸せ
るいちゃんを迎えたことで、飼い主さんはペットロスから立ち直り、気持ちが明るくなりました。
「今では、るいは家族のアイドル的存在です。家の雰囲気が一気に華やぎ、家族みんなで笑ったり会話をすることが増えました。食事中など、家族が集まると必ずやってきて、くつろいでいます。本当に愛おしくてたまりません。一緒にいられる日々に、心から幸せを感じています」
最後に、るいちゃんへの思いについて飼い主さんは次のように語ってくれました。
「これからも長生きして、ずっと一緒に過ごしていきたい。溺愛しすぎて、よく『親ばか』だと言われますが、それくらい大切な存在です(笑)」
るいちゃんは、これからも飼い主さんのそばで、たくさんの幸せを届け続けてくれることでしょう。