犬猫に手作りごはんのすすめ…お家で作れる!動物の「種」に適した食事のポイント

小宮 みぎわ 小宮 みぎわ

 犬猫に市販のペットフードだけでなく、手作りのごはんをあげてみませんか。人間のごはんをつくるついでに、ちょっとした工夫をするだけで、栄養学的にもメリットの大きい健康的なごはんをつくることができます。具体的にどのように用意すればいいか、動物の栄養に詳しく、獣医師や飼い主さんたちに犬猫の健康的な食事について広める活動をされている荒木幸子先生に伺いました。

  ◇  ◇

 現代のペットはほぼ100%飼い主から与えられる食事で暮らしていますので、飼い主がペットの食事管理をしなくてはなりません。そのときの栄養の考え方にはいくつかありますが、より動物種に適した自然に近い食事を推奨する獣医師が増えてきています。

 犬と猫の動物種としての代謝や食性を考えると、猫は完全肉食動物です。また、雑食といわれる犬であっても、人と比べるとずっと肉食度が高いと考えられます。どちらも野生では、獲物を捕獲し、生のまま丸ごと食べてきました。

 近年、このような動物種に適するという考えで作られた「ローフード(本来の食事に近いと考えられる火を通さない生の食事)=生食」を販売する会社が増えてきました。がん末期で食が細くなった犬で、ドライフードは拒絶しても、最後まで喜んで食べてくれたのはこのような生食でした。

 自然に近い理想的な食事のバランスをふまえながら、ペットたちに手軽に手作りごはんを用意するポイントをご紹介します。

1)肉食を意識した食材のバランスを

 犬、猫の食事における、自然に近い理想的な食材の比率は、以下のようになります。

・猫 動物性の食材 90~85% : 植物性の食材 10-15%

・犬 動物性の食材 70%程度 : 植物性の食材 30%程度

* 動物性の食材=肉・魚・卵など 植物性の食材= 野菜・いも類など(いずれも量g)

 市販されているローフード(生食)はだいたいこのような割合のものが多いです。実際には、犬の場合は動物性食材と植物性食材を50:50程度にしても、優秀な食事になります。猫の場合には、もともと肉食ということもあり、体が許容できる炭水化物量が限られているため、野菜や穀類を増やしたとしても2割程度が限度でしょう。

2)カルシウム源を必ず加える

 家庭で手作りするごはんで不足していまう栄養素ナンバーワンは、なんといってもカルシウムです。 犬猫は野生において獲物を基本的に丸ごと食べるため、カルシウムを生の骨から自然に摂取できていますが、人の手で用意するごはんでは、カルシウム源を足してあげなくてはなりません。特に成長期のカルシウム不足は致命的な健康上のリスクとなりますので注意が必要です。骨ごと挽いてあるミンチ肉や骨粉サプリメント(人用のもので良いです)などで補うとよいでしょう。(腎臓疾患などでリンの接種制限があるペットは、獣医師に相談してください)

3)内臓肉を加える

 犬猫が獲物を食べるとき、特に内臓から先に好んで口にするといわれます。レバーや心臓などには、筋肉部には少ないビタミンやミネラルなどの微量栄養素が濃く含まれているため、筋肉だけの食事ではこれらが不足します。家庭の料理では、手軽に購入できる鶏ムネ肉やささみなどが使われることが多く、筋肉しか含まれないレシピがほとんどです。意識的にレバー(肝臓)やハツ(心臓肉)、マメ(腎臓)などの内臓肉を活用してみましょう。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース