結婚15年目を迎えたAさんは、小学生の子どもたちに囲まれ幸せな家庭を築いてきました。ただ数カ月前から様子がおかしくなった妻について、Aさんは気になって仕方ありません。以前はシンプルだった服装が急に派手になり、化粧も念入りにするようになったのです。
外見の変化だけでなく、常にスマホを肌身離さず持ち歩くようになったのもAさんは気になっていました。Aさんの妻は、リビングでも寝室だけでなくトイレにまでスマホを持っていくようになり、Aさんは「もしかして妻は浮気をしているのか?」と考えるようになります。
Aさんは妻の浮気の証拠を探そうと、妻のスマホを覗き見ようとも思いましたが、罪悪感から実行には移せませんでした。妻を問い詰めたとしても、もし浮気が事実でなかった場合、夫婦関係が完全に壊れてしまうのではないかと恐れています。
妻のことで悩める日は続き、夜に眠れなくなったAさんは心療内科を受診しました。医師からはストレスによる不眠症と診断され、睡眠導入剤を処方されるものの、薬を飲んでも寝付けない夜が続きます。
Aさんは妻が浮気をしていても、何とかして夫婦関係を修復し元の幸せな家庭に戻りたいと願っているのです。しかし妻の真意がわからず、このまま疑心暗鬼な日々を過ごすのはもう耐えられません。
探偵に依頼して浮気の証拠を掴むべきか、それとも妻に直接問い詰めるべきか、果たしてAさんはどうするべきでしょうか。夫婦関係修復カウンセリング専門行政書士の木下雅子さんに話を聞きました。
ーAさんは、探偵に依頼した方がいいのでしょうか?
離婚が前提であれば探偵に依頼し、奥さんの浮気が真実かを確認した方がいいでしょう。今後も婚姻関係を継続するのであれば、おすすめしません。実際に真実が知りたいと言って相談に来られる方もいますが、仮に浮気の証拠を掴んでしまうと途端に態度が代わり「離婚する」と言い出すケースもあるからです。
また一度怪しいと思ってしまうと、どうしても色眼鏡で見てしまって奥さんの行動の全てを浮気に結びつけてしまっている可能性もあります。もしかしたら浮気をしていたのではなく、何かのきっかけでおしゃれに目覚めたという場合も考えられますよね。
ー離婚せず結婚生活を続けるとしたら、Aさんは何をすべきなのでしょうか?
結婚生活を続けるのであれば真実を解明しようとするのではなく、カウンセラーなどの専門家への相談をおすすめします。
現状、夫婦2人になると会話がないとのことなので、まずは子どもが一緒の時だけでも楽しいひと時が過ごせるように努力しましょう。奥さんを怪しむのではなく、夫として父親として自分が役割を果たしているかを見直すのが重要です。
夫として父親として魅力的な男性であれば、仮に奥さんが浮気をしていたとしてもAさんを見直して態度を変えるかもしれません。ただ、一度疑心暗鬼の状態に陥ってしまうと自分を改めるのは難しいとは思いますが、円満な夫婦関係を継続させるためにできることから始めましょう。
◆木下雅子(きのした・まさこ)行政書士、心理カウンセラー。大阪府高槻市を拠点に「夫婦関係修復カウンセリング」を主業務として活動。「法」と「心」の両面から、お客様を支えている。