埼玉県熊谷市のリサイクルショップから高級釣り具(リール)が盗まれ、その事件前には約2時間ごとに埼玉県内の同チェーンの2店舗で盗難が続いていたことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は16日、熊谷市の現場を取材し、当サイトに対して「計画性のある犯行」と解説した。
3月11日午後11時ごろ、埼玉県熊谷市のリサイクルショップ「万代書店 熊谷店」に2人組の男が現れ、ショーケースの鍵をこじ開けて、総額約40万円相当の高級リール10点を盗んだ疑い。防犯カメラの映像によると、2人組はショーケースに陳列された釣り具を物色し、いったんはその場を離れた後、周囲を確認して再びショーケースの前に立ち、何らかの道具を使って鍵を開け、ガラス戸を開けて商品をかばんに詰め込んでいた。
さらに、その日に埼玉県内にある同チェーンの川越店と岩槻店でも盗難が発生。川越店では午後7時頃に約30万円相当の高級ブランド服4点が盗まれ、岩槻店では同9時頃に総額25万円相当のトレーディングカード分5枚が盗まれた。同日に約2時間ごとに計3店舗で犯行が続いたことになり、いずれの店舗でも防犯カメラには同一人物とみられる2人組が写っていた。また、3月1日には、群馬県伊勢崎市と高崎市の系列店舗でも2人組による盗難事件が起きている。
小川氏は「このお店は『書店』となっていますが、本だけでなく、ゲームソフト、釣り道具等色々な商品が置いてある大きな店舗です。今回盗まれたリールは2階の奥でレジスターから離れた、従業員の目が届かない場所に陳列されていた。リールは購入額と転売額の差が少ない『換金性』の高い商品なので狙われたと思われる。鍵穴を壊したわけではなく、ある方法によって1分ほどで外してしまうという手慣れた者の手口でした」と現場から報告した。
同じ日に盗難に遭った他店でも高額商品が狙われたことについて、小川氏は「本は数百円、DVDやゲームソフトは数千円なので狙われず、転売しても数万円で売却出来るリールのほか、他店ではブランド品やトレーディングカードなどが盗まれた。埼玉の同チェーン店を狙ったということで、土地鑑があり、さらに店内の状況を客として事前に下見をしていると考えられる。計画性のある犯行と言えます」と分析した。
さらに、同氏は「コロナ禍でみなさんマスクをしている。今回の現場取材でも店内にいたお客さんは全員マスクをしていました。『防犯カメラに映っても分からないだろう』という犯人の意識があったことも否定できない。また、2時間おきの『連続盗難』だが、被害に遭った店舗から各チェーン店に連絡が回される前に犯行に及んだことによる時間の間隔だったと考えられる」と付け加えた。
防犯対策として、小川氏は「高額な商品は従業員が常駐するレジスター近くに置くことです。また、鍵が開くとブザーが鳴る防犯設備を付けておくこと、『防犯カメラ作動中』といった表示をよく見えるところに付けておくことも効果が見込めるでしょう」と呼びかけた。