小学生の思いつきから始まったアイドル活動…成功の裏で心を病んだリーダー 「いのちをだいじに」仲間に支えられた彼女が再びマイクを握るまで【漫画】

海川 まこと 海川 まこと

表舞台に立って歌ったり、踊ったりしてファンを魅了する「アイドル」の人たちは、若い年齢の頃から活動しているグループが多いですよね。SNSに漫画を投稿している羊かわいいねさんの『インポータンス・オヴ・ビーイング・アイドル』は、女子小学生の3人が個人的にアイドルグループを結成し、成功することを目指す様子が描かれた作品です。

アイドル活動を経て成長していく3人の様子は、多くの人から注目を集めて約7000もの「いいね」が寄せられています。

ある日小学生の「れな」は、テレビで活躍するアイドルグループの姿にときめきを感じ、翌日クラスメイトの「かほ」に「アイドルやろ!」と唐突に声をかけます。その後、ピアノが弾けて歌声がきれいな「るか」も誘い、3人はほどなくしてアイドルとして活動を始めることに。話し合いをしたり動画を撮影したりなど、積極的に活動したものの3人は特に注目されることもなく中学生になるのでした。

中学生になってからはギター、ドラム、ベースをそれぞれが演奏するバンドスタイルを取り入れ、文化祭で演奏もおこないます。高校に進学後も何も変わらぬ日々を過ごしていましたが、高校2年のとき、突如中学の文化祭での演奏がSNSで大バズり。芸能事務所に所属するとともに、テレビにも呼ばれるほどの知名度を得ることに。高校卒業後は進学せず、アイドル活動で忙しい日々を送るようになります。

そんな中、リーダーとしてグループを引っ張り、作曲もこなしていた「れな」の母が交通事故で亡くなったことによって、状況は一変します。れなは、レッスンや営業などの「やらなければいけない事」に向かおうとすると体が動かなくなり、ひたすら不安を感じる精神状態になってしまうのでした。

この状態が続いたことで、れなはアイドルを続けられないと考え、マネージャーとの相談の末に活動休止を決断します。今までグループを引っ張ってきたれなが活動休止となるものの、「かほ」はテレビのバラエティ番組で存在感を見せ、「るか」は作曲や歌声でファンを魅了し、れなが活動してた時以上に活躍するのでした。しかし、かほとるかが頑張っている中で、れなは何もできていないという事実がれな自身の心を蝕み続け、自殺衝動に駆られてしまいます。

自宅の2階から飛び降りを図ったものの、寸前のところでるかに助けられたれなは、その後るかと共同生活をすることに。るかと共に生活するなかで、れなは感じなくなっていた食べ物の味が分かるようになったり、夜寝て朝起きる規則正しい生活を取り戻したり、心身ともに緩やかな回復を見せ始めます。

れなとるかが共同生活を始めてから1年半が経ったころ、れなは音楽にも気持ちが向きはじめ、ついに事務所に活動再開を打診するのでした。活動再開後のれなは、るかとかほからは「頑張る禁止」や「いのちをだいじに」など、すぐに無理をしてしまう性格を見越したアドバイスを受けながら活動していきます。

このアドバイスのおかげもあり、れなは精神も安定し、半年後の開催が決定した全国ツアーに向けて準備を進めることができました。そして全国ツアーの初日、れなはファンへの挨拶で、活動休止によってファンを待たせてしまったことへの謝罪や、自身が心の病で苦しんだこと、多くの人に支えられたことへの感謝などを語ります。さらにれなは心の病になった経験から、辛い時は無理せず休むことの大切さや、休んだからといって不必要な人間になるわけではないことを伝えるのでした。

アイドルに青春を捧げた3人の様子や、心の病の苦しみ、消耗してしまう前に休むことの大切さを描いた同作に対し、読者からは「ラストで泣いた」「頑張っている人こそ読んでほしい」と好評の声が相次いでいます。そこで作者である羊かわいいねさんに、同作を描いたきっかけについて話を伺いました。

―同作を描いたきっかけを教えてください。

イギリスのロックバンド「オアシス」の「インポータンス・オヴ・ビーイング・アイドル」という曲を聴いている時にアイドル(idol)がidle(休む)してたら面白いな、ということで描きました。アイドルに着目した理由もidolとidleのダジャレになります。あと、いろいろな人からキャラを可愛く描けと言われたので、その練習でアイドルに着目した点もあります。

―描いたうえで特に注目してほしいポイントがあれば教えてください。

随所にオアシスというバンドのネタが仕込まれているので、ぜひ探していただければと思います。

―読者にメッセージをお願いいたします。

オアシスが再結成したので、みなさんにも、ぜひオアシスを聴いてほしいです。おすすめは「ホワットエヴァー」と「ドントルックバックインアンガー」の2曲です。そうしたら、ベストアルバムの「タイム・フライズ…1994-2009」を聴いてみてください。

<羊かわいいねさん関連情報>
▽X(旧Twitter)
https://x.com/hitsujikawaiin3

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