若い世代の人々に、農業に親しみを感じてほしい。無農薬・有機野菜の美味しさを、たくさんの人に伝えたい———。そんな強い思いから、奈良市の山奥で畑農業を営む熱い若者たちがいる。
彼らは株式会社KAKEHASHIを営み、無農薬・有機野菜に関する取り組みを行っている。それは大きく3つだ。
1つ目は、野菜の生育。農薬・化学肥料を使わずに育て、できあがった野菜は希望者へ届けたり、マルシェへの出店、ホテルや飲食店での販売を行ったりしている。
2つ目は、キャンプ事業。一般的な食材持ち込みのキャンプとは違い、ここでは彼らが作った「できたてのオーガニックの野菜」を食べることができる。
3つ目は、オンラインプラットフォームの運営。ここではさまざまな地方の他農家も出店していて、消費者が好みの野菜を注文すれば、産地直送でお届けしてくれるサービスだ。また出店農家が増えれば、農家と飲食店、また農家と新規就農希望者をつなぐ「マッチング」も行う予定だという。
それらは全て、「野菜の魅力」を全面的にアウトプットする取り組み。多角的に農業を行っている彼らは、2年ほど前まで全く異なる職に就いていたという。営業マン、バーテンダー、プリントウェア事業の経営…。そんな彼らが、どうして農業を始めたのか。
かつて代表の岡紀秀さんの取引先のスーパーが、農薬・化学肥料不使用の農法に取り組んでいると耳にしたそう。その取り組みや栽培方法の話を聞き、実際に農場を見学して実際に土と野菜に触れながら「この農法をもっと世の中に広めたい。未来につなげていきたい」と感じ、農業への転向を決心。岡さんに声をかけられた今井翔太さんと京田亮二さんも、彼の熱意に引き込まれて参加。こうしてKAKEHASHIは2019年に立ち上がった。
多くの農業従事者が通過する「下積み」を経験しないまま、先輩たちからの助言をもらいながら一から始めた彼ら。もちろん、たくさんのハードルがある。土地を探すのに1年を有し、ようやく野菜を育てられている今も、試行錯誤の繰り返しだ。
「日本では、農薬や化学肥料を使うのが『普通』。だから無農薬に挑戦するのは本当に難しいんです。まずは薬なしで育つための土作りから…。種を植えても実にならないこともあるので、本当に大変」
「僕たちはまだまだ素人です」と語る一方、生き生きとしている3人。彼らは、野菜を育てるのは初心者でも、「野菜を食べてほしい相手」に届けるための知恵と勇気をもっている。
「農業従事者の平均年齢は65歳を超えていると言われています。そこで僕たちの若い感覚や、前職で得た知識、マーケティングの要素も取り入れたい。オンラインとオフラインの両軸から、農家と若者・新規就農者・飲食店をつなげていきたいです。まさに''勇気’’野菜です」
彼らの目標は、「もっと農業を身近に感じてもらい、若い世代がやりたいと思ってもらえるように職業認知度を引き上げること」。
「僕たち若者が農業を行うことで、『農業ってかっこいいやん!』と思ってもらえれば」
■畑でCamp
https://hatgkedecamp.wixsite.com/mysite
■お野菜キューピット オンラインオーガニックマルシェ(運営:株式会社KAKEHASHI)
https://0831qp10.com