江戸時代、迷子の犬の正体は「おかげ犬」 伊勢参りを終えたぶち模様の犬と町奉行の“飼い主探し”にほっこり【漫画】

海川 まこと 海川 まこと

例えば飼い主不在の犬が道をさまよっていたら、みなさんは助けようと思うでしょうか。漫画家・笹井さゆりさんの『おまわりさん、犬に出会う』は江戸を舞台に、一匹の犬と町奉行の男による飼い主探しを描いた作品です。X(旧Twitter)にポストされると、3000を超える「いいね」が寄せられています。

時は江戸時代、町奉行の下っ端である男は「おかげ犬」の飼い主探しを命じられます。おかげ犬とは、飼い主の代わりに伊勢神宮へ参拝の旅をした犬のこと。世話をした旅人が飼い主の家を訪れたところ、火事で全焼しており、主人の消息が分からなくなったのでした。

おかげ犬の首に巾着がぶら下がっていて、中に入っていた手紙には、決して上手と言えない犬の似顔絵とともに「名はぶち」とつづられていました。また「なるべく魚を与えてください」との要望があったので、町奉行は巾着に入っていたお金で魚を買ってぶちに与えます。

そして、手紙にあった飼い主の名「大岡彦三郎」を頼りに、ぶちの飼い主探しを開始。すると、盗っ人が逃走する現場に遭遇し、町奉行は懸命に追いかけるも、なかなか捕まえられません。しかし、ぶちが高く飛び上がって盗っ人に嚙みつき、ひるんだところで取り押さえることに成功します。

その後、飼い主探しを続けたものの、夕方になっても見つかりませんでした。町奉行はぶちを引き取ることを考えていた時、大岡彦三郎の娘がやってきて「ぶち」「よかったあ!」と、泣きながらぶちを抱きしめます。

彼女によると、父は無事で、次に住む家がようやく決まったが、ぶちに所在を伝えるすべがなく困っていたとのこと。そして、娘が以前の家の近くを歩いていたところ、ある子どもから「さっき総髪のおまわりさんがぶち犬を連れていた」という情報を聞きつけたそうです。

町奉行と娘、ぶちは揃って帰路につくと、町奉行は「あの似せ絵を描いたのはお前さんかい?」と質問。娘は「さようです 絵の腕には覚えがありまして」と微笑み、町奉行も「そうだな そっくりだな」と返すのでした。

読者からは「ぶちが可愛すぎる」「食事に表情が豹変するぶちが最高」などの声が。そこで作者である笹井さんに、同作を描いたきっかけについて話を聞きました。

―同作を描いたきっかけを教えてください。

文献にて、「おかげ犬」の存在を知ったことがきっかけです。さらに別の資料にて、「おかげ犬の主人の所在がわからず奉行所に届けられた」という記載を見つけました。この犬や主人のこと、奉行所でのすったもんだを想像するうちに漫画にしたいなと思いました。その記録には飼い主が見つかったかどうかはまでは書かれていなかったのですが、無事に再会できたことを願いつつ描きました。

―同作の中で特にお気に入りの場面があれば、理由と一緒にぜひお聞かせください。

場面と言えないかもしれませんが、手紙に添えられたひょろひょろのぶちの似せ絵……おまわりさんは「ヘタクソ」と言っていましたが、いやいや、味のある絵だよ!だと思っています(笑)

これは禅僧で画家の「仙厓義梵」による『犬図』(人気の“ゆるい日本画”のひとつとしてご覧になったこともある方もいらっしゃるかもしれません)をモデルにした空想の絵です。江戸時代の人の描くラフな絵が好きなので取り入れてみました。

―作中に登場する「おかげ犬」はとても愛くるしく描かれておりますが、描く際に意識したことや心がけたことはあるでしょうか?

ありがとうございます。実際の犬をモデルにして描くことでしょうか。餌を食べている時に急に顔が怖くなるところや、足元をぐるぐる回るところは、実家の犬の動きそのままです。

<笹井さゆりさん関連情報>
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