新型コロナウイルスの感染拡大が続く今夏、旅行に行っていいのか、行かない方がいいのか。神戸新聞社の双方向型報道「スクープラボ」のアンケートで7~9月の旅行計画を尋ねたところ、帰省を含めて旅行しないという人が約7割を占めた。一方、政府が進める「Go To トラベル」キャンペーンを「申請中、またはするつもり」と答えたのは全体の約2割。主流は“自粛の夏”のようだ。(前川茂之)
アンケートは7月30日~8月7日に無料通信アプリ「LINE(ライン)」で実施し、580人から回答があった。
帰省を含め、「旅行に行く予定はない」と回答したのは394人(67・9%)。40代のパート女性は「職場で外出自粛を言われているし、コロナが不安」と遠出はしない予定という。10代の男子学生も「感染の可能性がある中、若者が外に出ることだけで批判を浴びる」と周囲を気にする。
これに対し、旅行を「予約した」と答えた人は70人(12・1%)。「すでに旅行に行ってきた」が37人(6・4%)、「旅行を計画中だが、予約はしていない」が52人(9%)だった。
政府の「Go To トラベル」キャンペーンを「申請中、またはするつもり」と答えたのは全体の約2割。旅行に行った人や行く予定がある人に限ると、約6割が申請を考えていた。
一方、旅行に行く人や行った人のうち、職場や周囲に「伝えている」としたのは約6割。残る4割は旅行すること自体を伏せていた。
20代の女性公務員は「医療現場で働いているので、旅行に行ったことがバレると非難が殺到する。職場にいづらくなる」と恐れる。
「旅行に行くことに嫌悪感を抱く人もいるから」とは30代の会社員女性。ほかにも「症状がなくても、感染しているのではと疑われたり、差別されたりするのでは」(40代公務員男性)など、感染者への冷ややかな視線を、打ち明けない理由に挙げる人が目立った。
旅行に行く際の自衛策を複数回答で尋ねると、94・5%の人が「マスクの着用」を選択。60・6%は「公共交通機関を利用せずマイカーで移動」を選び、人の多い鉄道やバスを避ける志向が高まっていることもうかがわせた。
このアンケートは読者の多様な声を聞き取ることが目的です。無作為抽出の世論調査とは異なります。
兵庫県内の誘客施策、キャンセル相次ぐ
神戸新聞社のネットアンケートで約7割が自粛すると回答した今夏の旅行。政府の「Go To トラベル」キャンペーンに先立ち自治体や観光協会などが実施した誘客キャンペーンも、キャンセルが相次いでいる。「告知済みなのでやめるわけにもいかない」と、担当者は頭を悩ませる。
兵庫県は、官民でつくる「ひょうご観光本部」と連携し、6月下旬から宿泊料金などを割り引く「Welcome to Hyogoキャンペーン」を展開。関連費用約13億円を本年度の補正予算に計上した。
淡路島と城崎温泉(豊岡市)、湯村温泉(新温泉町)などはキャンペーン当初から順調に予約を伸ばし、「平日はまだ厳しいが、週末は多くの宿が満室になってきた」と口をそろえる。
ただ、7月以降の感染者急増を受けキャンセルが出始めている。誘客キャンペーンの時期をずらす自治体も出始めた。
神河町は当初8月上旬から販売予定だった「Welcome to かみかわ(観光商品券)」を9月1日からに延期。担当者は「今はもろ手を挙げて来てくださいとは言いにくい」と話す。
丹波篠山市は、秋の恒例イベント「丹波篠山味まつり」をオンラインに切り替える。オンラインショップにクーポンを付け、黒枝豆などの特産品を販売する戦略だ。同市商工会の圓増(えんそう)亮介会長は「地域に関心を持ち続けてもらうことが大事。コロナが収まったら来てほしいというメッセージを込めたい」と話す。
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