新型コロナウイルス感染拡大により、中高生のスポーツ大会や文化部系の一部の全国大会が中止になったことを受け、神戸新聞社は双方向型報道「スクープラボ」で、中高生本人の思いや周囲の声を募った。本人たちの無念の声が上がる一方、「勉強も部活もまだまだ頑張る」という前向きな言葉も。中高生の部活を支える保護者らの声と合わせて紹介する。(藤村有希子、伊田雄馬)
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アンケートは4~7日に無料通信アプリ「LINE(ライン)」で実施し、120人から回答があった。
受け止めは多様
夏の全国高校総合文化祭は、インターネットを使って参加者を集めずに開かれる一方、中高生による10月の全日本吹奏楽コンクールなどは中止された。
吹奏楽部で活動してきた兵庫県川西市の高校3年の女子生徒は、先輩の姿を見て「私たちもすてきな舞台をつくる」と練習に励んできた。だがコンクールは中止となり「すべての人の安全(の確保)はもちろんだけど、こんなに酷なことはあるのか」と胸の内を明かした。
同県丹波市の高校2年の女子生徒は「先輩と一緒にコンクールに出たかった。来年は先輩の思いを胸に舞台に立つ」と決意をつづる。
スポーツも夏の全国高校総合体育大会(インターハイ)、全国中学校体育大会や両大会の予選などが中止に。その後、選手の救済策として代替大会の開催も一部競技で決まりつつある。
インターハイの中止に、同県西宮市の高3女子選手は当初「力がすべて抜けたよう」だったというが、「大会開催を信じて、勉強も部活もまだまだ頑張る」と気持ちを切り替えていた。
フェンシングに取り組む同県三田市の中学3年の女子選手は「練習できる幸せを感じた」といい、「大切なのは人命。この機会に危機管理を学び、未来につなげたい」と先を見据える。
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同情する保護者ら
落胆する生徒を見守る保護者やそれ以外の人たちも、メッセージを寄せた。
中3の子を持つ西宮市の女性(40)は「この夏にすべてをかけ、厳しい稽古をしてきた日々が泡となって消えたも同然」と悲嘆する。「総体後は違う道へ進もうと決めていた子も、大会の結果を持って(スポーツ推薦で)進学しようと必死だった子も区切りがつかない。親も同じです」と複雑な思いを打ち明ける。
別の女性(45)=同県姫路市=は「嘆願書への署名や自宅でのトレーニングなど、できる範囲で協力している」とする。
一方、子の安全を考えて開催中止に理解を示す声も。水泳部の高2の子を持つ女性=同県明石市=(55)は「他の競技以上に感染予防が難しく、先生方も大変だと思う」と述べた。
無念の思いは文化系の部活も同じ。40代の女性は「中学最後のコンクール、全国大会出場を目標に頑張ってきたのに、中止になり本当にかわいそう。大きな目標がなくなり、部活への意欲もすっかりなくなってしまったようです」。
部活動が不完全燃焼で終われば、今後に悪影響を及ぼすのではと心配する声も多い。明石市の女性(43)は「勉強に切り替えがうまくできないのではないかと心配」という。
エールを送るのは、57歳の女性。「つらい思いはむだにならない。未来をつくる底力になる。努力したこと、仲間と励まし合ったこと、涙、笑い、悲しみも宝物です」
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「#最後の夏残したい」は、新型コロナで部活動に影響を受けた中高生にエールを送る、地方紙連携プロジェクトです。
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